【シリーズ 「デジタル田園都市国家構想」で未来を拓く】観光資源につながりを 米原市(滋賀県) 


 米原市を代表する観光地、アクティビティの一つが「グランスノー奥伊吹」だ。関西最大級のスキー場で、初心者から上級者まで楽しめる14コースを装備。関西圏、東海圏からのアクセスの良さや雪質の良さから来場者数が年々増加しており、ある調査では「全国スキー場の人気ランキング」の1位に輝くほど。

 「ローザンベリー多和田」は1万3千平方メートルの広大な敷地内に観光農園や体験工房、ガーデン、牧場などを備えた複合施設。イギリス生まれの人気キャラクター「ひつじのショーン」の制作元と独占契約を結び、キャラクターのオブジェを現実のサイズ感で登場させるなど、こちらも子供連れの家族客などに人気だ。

 市内長岡地区の天野川流域はゲンジボタルの発生地で有名。1952年、同地域が「長岡のゲンジボタルおよびその発生地」として国の特別天然記念物に指定されている。ホタルの発生地として天然記念物に指定される地域は全国に11地域あるが、特別天然記念物指定は同地だけだ。今年5月26日から6月4日にはホタル観賞が楽しめる「天の川ほたるまつり」がコロナ禍を経て4年ぶりに開催された。

 滋賀県最高峰、標高1377メートルの伊吹山は「日本百名山」の一つ。その山頂は高山植物の宝庫となっており、「天空の花畑」の異名を持つほど。頂上から一望できる琵琶湖の景色とともに登山客の目を楽しませている。NHKで放送中の朝のテレビ小説「らんまん」の主人公のモデルとなった植物学者、牧野富太郎がここ伊吹山でさまざまな活動をしていたことから、例年以上に訪れる人が増えているという。

 市内には柏原宿、醒井宿、番場宿と、中山道の三つの宿場町がかつて存在し、古い建物など、その面影が一部で残されている。

 年間観光客は直近の2022年が183万人(速報値)。コロナ禍前の19年が186万人。東海道新幹線が停車するなど交通の便に恵まれていることもあり、圧倒的に日帰り客が多く、宿泊客数の拡大が今度の課題と同市シティセールス課の担当者は指摘する。

 前出のホタル観賞では一部で“オーバーツーリズム”が発生しており、受け入れ態勢の整備など、その解決も課題という。

 16年に策定、今年3月に一部変更された「第2次米原市総合計画」(17~26年度の10カ年計画)では、「伊吹山、名水、歴史資源など米原ならではの多種多様な観光資源が多く存在しながら、単体での取り組みや認知度が低いものがある」と認識。「それぞれのストーリーを磨き、つながりを創り出すことで市全体の盛り上がりを高め、観光客の受け入れ体制を整える必要がある」としている。

 ”つながり”の一環として、市内の観光地を2カ所以上巡る、同市を想起させるタイトルのツアーを造成した旅行業者に支援金を送る制度もこのほど創設した。

(観光経済新聞)

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