【シニアマイスター経営の知恵46】主体性の効用 浅川りえ子

  • 2017年10月11日

 日本一早く秋が訪れる北海道大雪山系旭岳では、紅葉が見頃を迎えている。鮮やかに彩られた景色の一つ一つを構成する木々などの要素が、まず個として美しいから、全体としてみたときに素晴らしいコントラストとなり、人々を魅了するのではないだろうか。ホテル業界に目を向けてみると、感動を与えるようなサービスの現場には、同じような現象があり、彩りを決めるのは、間違いなく人財だと考える。

 接客時の対応はもちろんだが、施設の管理状況は、まさに「神は細部に宿る」。なかなか目を留めないような部分にまで清掃が行き届いているなどの目配り、気配り、心配りを感じる瞬間は、そこに懸けられた思いに触れ、心が温かくなるような感動を覚える。ホテリエは、さまざまなバックグラウンドを持つ方と日々対峙し、あらゆるものがタッチポイントになりうるという緊張感と、即時対応という柔軟性が常に求められる。対応する人の真価が問われる瞬間の連続であり、ホテル全体の評価が決まる瞬間でもある。

 「リーダーの行為、態度、姿勢は、それが善であれ悪であれ、本人1人にとどまらず、集団全体に野火のように拡散する。集団、それはリーダーを映す鏡なのである」。これは京セラの創業者である稲盛和夫氏の言葉で、リーダーに求められる資質を示唆している。各自が状況を判断して、自らの責任で最も効果的な行動をとる「主体性」が発揮できる環境の重要性を再認識するところである。特にホテルにおいては、目に見えるカタチで随所に現れ、それがホテル全体の評価につながっていく。

 失敗を恐れず、やりたいことに挑戦して主体性を発揮できる環境を整えることができれば、マニュアルでは書き尽くせない細部に至るまでの行動を、内発的に動機づけ、その思いが行動に現れていくのではないだろうか。思いを実現できる場所では、それぞれが自主的に、豊かな彩りを添えていくのだと、私は思う。

 (NPO・シニアマイスターネットワーク北海道地区担当ディレクター 仁木町地域おこし協力隊、浅川りえ子)

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