【シニアマイスター経営の知恵 88】効率化とサービス品質の向上 ホスピタリティリソーセスジャパン代表取締役社長 川村敦子

  • 2019年8月10日

 長年お付き合いのあるホテルから業務の効率化について相談を受けた。聞けばお客さま満足追求の一方で、対応に費やす人手や時間が現場の負担になっているとのこと。折しも会社を挙げて「働き方改革」の下、ご苦労が察せられた。

 例えば食事。アレルギー以外の嗜好による要望にどこまで応えるか。追加料金がかかることやパッケージに含まれないサービスのリクエストなど、本来事情を説明してお客さまに理解していただくべき事柄が徐々に慣例化したようだ。本質的なサービスがおろそかになっては本末転倒、限られた人員・時間の効率化とサービスの維持向上の両立は、運営品質にも関わるだけに悩ましい課題だ。

 着手しやすいことでいえば、まず情報共有の徹底だ。応対ケースを共有し、対応を基準化することで判断の精度と効率アップが期待できる。相談を受けたホテルでも支配人・マネージャーの間で微妙な違いがあり、スタッフが確認と判断に時間を要するケースが明らかになったため、会議の場を利用して全スタッフに周知を図った。

 仕組みの説明や、断わる際の言い回しも大切だ。「バブルの時代、決められていたデポジット(前受金)が高額で、お客さまにはっきり言えず、曖昧な態度を指摘されたことがある」。ホテル勤務時代の知人の話を思い出す。曖昧さはお客さまの「不(不信、不明、不快)」を招き、かえって対応を複雑にしかねない。ただし、伝えるときはあくまでお客さまの立場で誠実、丁寧が原則だ。

 そして、お客さまとのよき関係を構築することだ。お客さまをよく「観(み)て」、会話を通じてサービスへの意見や指摘、期待に真摯(しんし)に耳を傾ける(「聴く」)。相互の理解と同時に信頼も深まるだろう。相反するように思える効率化とサービス品質の向上は、実は同じ方向を示しているのではないだろうか。

 (NPO・シニアマイスターネットワーク会員 株式会社ホスピタリティリソーセスジャパン代表取締役社長 川村敦子)

        

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