【シニアマイスター経営の知恵 173】マインドフルに旅を楽しむ 大妻女子大学人間関係学部教授 八城薫


 マインドフルネスをご存じだろうか? Google社が人材開発プログラムに取り入れ、その満足度と人気の高さから、さまざまな企業がマインドフルネスを用いた人材育成やメンタルヘルス向上のプログラムを導入するに至っている。企業における効果としては、集中力や創造力の向上、ストレス低減および回復力の向上、人間関係の向上などが報告されている。そのほか、感情のコントロール、慢性疼痛(とうつう)の緩和、認知症予防、自然治癒力の向上などの効果も期待できる。

 マインドフルネスとは、マインド(気づき:注意)とフルネス(いっぱい)が組み合わさっている通り、今この瞬間の気づき(注意)で心をいっぱいにするという心の状態のことである。気づき(注意)を向ける対象は身体感覚(呼吸、五感)である。注意が逸れてほかの思考(「今日の夕飯どうしようかな?」とか「あの仕事で失敗した!」など)が出てきたら、そのことに気づき、評価や判断をせずにただ受け止め、また身体感覚に注意を戻す。

 マインドフルネスは「心の筋トレ」ともいわれ、継続してトレーニングすることが必要であるが、1人であぐらをかいて姿勢を正し、じっと呼吸や五感に注意を向け続ける瞑想(めいそう)を日常の中に取り入れるのは難しいだろう。しかし、日常生活や自身の興味ある活動の中にマインドフルネスを取り入れていくならどうか。

 たとえば昨年、アロマオイルを使って嗅覚、視覚、触覚といった感覚に注意を向けながらバスソルトを作る「アロマセラピーを用いたマインドフルネス」や、愛犬とのつながりを感じながら呼吸や動きに注意を向け続ける「ドッグヨガを用いたマインドフルネス」という講座を開催したところ、マインドフルネスの心の状態をよく理解していただけたようであった。

 そして現在、旅行研究の共同研究者たちと考えているのが、マインドフルに旅を楽しむ提案である。マインドフルネスを高めて旅行体験することで、旅行先の経験や出来事を強く印象に残し、満足度の高いものになるのではないだろうか。

 (大妻女子大学人間関係学部教授 八城薫) 

 
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