【シニアマイスター経営の知恵 160】コロナ禍は業界の常識を変えた!! T&A YOKUSURU代表 荒井輝夫


 2019年、中国で第1例のコロナ感染者の報告があってからあっという間にパンデミックといわれる世界的な流行になった。日本においても全国に広がり、いまだに収束が見えない。

 この約3年間、ホテル、旅館、観光業界は過去に例のない大変な苦難を強いられた。

 今までのサービスの常識が常識でなくなってしまった。

 サービス業において新入社員の頃から、笑顔、丁寧なあいさつ、会話によるコミュニケーション、お客さまに喜びを与えると教えも得たし、また同じように教えてきたものである。

 新入社員もなぜホテルに入りたいのですか?との面接で「人と人とのコミュニケーションが好きです」「あるホテルに行ったときのスタッフの笑顔、接客が感動して自分もホテルマンになりたいと思いました」と入社してきたのです。

 コロナ禍はこれら全てが通用しなくなってしまった。

 人と人との接触はしない、会話はしない、外食は控える、利用人数制限、そして時短営業、アルコール販売禁止、ひいては休業、休館と、今までの常識では考えられない常識に変わった。

 フロントには対面を遮るアクリルボードの設置、従業員はマスク着用、手袋着用。レストランにおいてもソーシャルディスタンス、席数を減らし、マスクで迎える。入り口でのお迎えの言葉は、笑顔から変わり、厳しい顔でマスクの着用をお願いいたします、手の消毒をお願いいたします、体温を測ってくださいからサービスが始まる。

 緊急事態宣言からは外出制限。ホテル、宿泊業は休館が多くなり、人と人との対話を目指して入った若者は将来を悲観し、多くの人が去っていった。

 政府は今年の夏休みは行動制限をしないと宣言したが、第7波を迎え、感染者数は各地で最多更新をしている。アフターコロナを目指し、各地で新規ホテル建設の計画がされているが、サービス業に若者は戻ってくるのか? スタッフがいなくて営業を抑えているところもあると聞く。

 ホスピタリティ業界において最大の商品はハード、料理以上にお客さまを「おもてなし」する人(人財)ではないか。東京オリンピック誘致で話題になった言葉「お・も・て・な・し」の心をもう一度、真剣に考える必要があるのではないだろうか。

 (日本宿泊産業マネジメント技能協会会員 ホテルマネジメント技能検定検定委員 T&A YOKUSURU代表 荒井輝夫)      

 
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