【シニアマイスター経営の知恵 153】「人手不足時代」を見据えた事業の最適化 日本宿泊産業マネジメント技能協会会員 西 宣秋


 コロナ禍で国内外の観光需要が激減し、人材の大量流出が起こった結果、ホスピタリティ業界全体が深刻な人手不足に陥っている。いまだコロナ収束の見通しが立たぬ以上、この人手不足が長期化するであろうことは想像に難くない。

 そんな「人手不足時代」の到来を前に、われわれはどうするべきか。私が提言したいことは、次に挙げる三つのプロセスからなる事業の最適化だ。

 一つ目は「生産性の向上」である。ホスピタリティ業界は良くも悪くも、根本的な事業スキームをあまり変化させずに今日まで至ってきた企業が多い。コロナ禍で生き残っていくためには、徹底的に事業の生産性を向上させ、市場環境の変化に耐え得る強固な基盤を作り上げることが最善であるというのは過去に述べた通りだ。

 二つ目は「テクノロジーによる補完」である。人手不足の改善が困難であるなら、テクノロジーを用いて補完を図るしかない。具体的にはRPAによる業務工数の削減や、AIによるお客さま対応の自動化などが挙げられる。費用面は「IT導入補助金」など政府の支援もあるため、それらを活用していけばよい。

 三つ目は「採用活動の強化」である。ホスピタリティ業界の「営業」に対する熱意はすさまじいものがあるが、一方で「採用」についてはおざなりとなっている企業も多い。採用活動とは言い換えれば「求職者への営業活動」である。十分なマーケティングを行い、企業の魅力を伝えていかなくては、人は来ない。

 これらを理想論と断ずる意見もあるかもしれないが、これらにより実績を挙げている企業が存在するのも事実だ。中部地方を中心にブライダル事業を展開する上場企業B社は、コロナ禍の中で事業の最適化を進めた結果、2022年度は過去最高益になるとの見通しを発表した。また採用面でも同業他社を圧倒し、完全に「一人勝ち」の状態だ。

 誰でもやり方次第でこのB社になれる可能性は十分にある。ぜひとも希望をもって取り組んでいただきたく思う。

 (一般社団法人日本宿泊産業マネジメント技能協会会員 西宣秋)

 
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