【シニアマイスター経営の知恵 117】人を優しく思いやること 日本宿泊産業マネジメント技能協会会員・北海道宿屋塾代表 柳森利宣


 コロナ禍の中、今必要なことを考えたい。

 新型コロナウイルス感染症への対策と新基準によるホテル旅館のコミュニケーションの形、オペレーションシステムの再構築は既に多くのホテル旅館が取り組んでいるところである。また同時に私たちが今考える必要があることは異常気象による自然災害であったり、安心安全を根底から覆すテロなどのリスクである。

 このように想定外のことをどれだけ予測できるかが現場の経営の中にも必要な時代になったといえる。だからこそ今大切なことは、私たちは地球環境を守りながら、自然と人に感謝をし、自然を思いやり、人を優しく思いやり、お客さまにもう一度この場所に来てもらうことの大切さを考えながら、日々お客さまをお迎えする形を整えて運営を続けることなのだと思う。

 Go Toキャンペーンなどで特定地域の観光施設ホテル旅館が注目されるが、日本全土に施設は点在し、それぞれの地域で働く仲間たちがいることを忘れないでほしい。

 旅の目的はお客さま一人一人皆違い、旅の目的に合ったホテルをお客さまが多くの場所、多くの選択肢の中から選ぶ時代である。お客さまに選ばれる条件、選ばれるホテル旅館にするために必要なことは何かを常に考え、新しい形に変化させること、それはお客さまに居心地が良くて大きな感動を与え、もう一度この場所に訪ねてみたい、もう一度あなたに会ってみたいと思ってもらえる努力を重ねることに違いない。

 お客さまに居心地の良さを提供するために、地域の文化、自然、四季折々の景観と安心・安全な食の提供ができることこそが大切なことであり、サービスするわれわれの気持ちがお客さまに思いとして伝わったときに、ホテル旅館の最大の価値が生まれるのである。その基本は「人を優しく思いやること」。そして四つの思い。それは一番大切なお客さまへの思い、お取引先さまへの思い、共に働く仲間たちへの思い、そして私たちが働く会社への思いである。

 ホテルで働くという意義を共有し、志を共に一緒に働く仲間たち。共に地域にあり、ホテルの営業を支える地元の生産者さんや商店の経営者。そしてわれわれの仕事環境を常に健全に維持し経営を支える会社。この3軸が整い、4軸目のお客さま軸に相対していくことの全ての準備が整うということである。そして地域においてのホテル旅館の歴史文化の積み重ねとなる。

(一般社団法人日本宿泊産業マネジメント技能協会会員 北海道宿屋塾代表 柳森利宣)

 

 
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