多くのメディアで「新型コロナウイルス」に関する報道がされ、Postコロナについて語られている。6月19日に都道府県間の移動自粛が解除されたこともあり、国内の経済とりわけ旅行市場に関する展望や予測などが活発に議論されている。
Go Toキャンペーンなどの政策も予定されている上、観光客が戻ってくるだろうと希望を持てる状況にはなったが、多くの議論や調査発表からは元の観光市場に戻るまで2年はかかるとの予測がされている。
市場が回復された後の状況は果たしてコロナ以前と同質なものになるだろうか。テレワークの普及・定着による働き方の変革と同様、観光市場においても旅行形態の大きな変化が予想される中、受け入れ側はどのような対策を準備するべきかについて考察する必要がある。
デロイトトーマツの調査レポートによると、コロナ環境下での対策は、時間軸を「現在」「Withコロナ」「Postコロナ」に分けて考慮すべきと指摘している。
まずは、事業活動に取り組む意義、領域を明確にし、予算削減および活動縮小を最小限にとどめた上で、Withコロナ期で成果の出やすい領域に集中し、Postコロナ期の中長期を意識した新規事業創出に活動を広げることが有効と指摘した。
Withコロナ期には、デジタル化や省人化など、比較的短期で成果が見込めるデジタルトランスフォーメーション関連項目に集中し、Postコロナ期では、「人の価値観の変化」「ワークスタイルの変化」に着目した新たなビジネス機会を模索する戦略が必要とされている。例えば、デジタルトランスフォーメーションの加速、規制の緩和といった機会を活用して、新たな顧客層の開拓、遠隔での新商品開発、政府との協力などによるビジネスモデルの変革が考えられる。
また、顧客のニーズが急速に変化する現状において、顧客ニーズに対応できる変革が可能なスタートアップと共創することも有効であると考えられる。
(一般社団法人日本宿泊産業マネジメント技能協会会員 具敏靖)