【コロナ禍を乗り越える 宿経営サバイバル塾 19】施策を利用し、宿の価値を上げる 全旅連ポストコロナ調査研究委員会


 昨夏に拡大した新型コロナウイルスまん延による緊急事態宣言が解除となった昨年秋より、感染予防対策を引き続き講じながら地方都市は地域観光事業支援を活性化させてきた。

 私の住み暮らす長野県では、感染拡大が深刻になった地域や時期もあったが同居の家族に条件を絞るなど柔軟な対応を行うことで昨年6月18日の事業開始から一度も停止せずに期限を迎えることができそうだ。効果については一定の需要喚起があったと推察する。ただ、業種規模問わず、上限を1200泊としたことで消化をできた宿とできなかった宿に溝があったとも感じる。昨年12月10日には600泊追加され、隣県にも対象県は広がった。

 宿側として、この施策をしっかりと使い切ること、そして稼働率・平均客単価をできる限り上げられるように商品開発やレートコントロールが必要となる。私の宿のようなビジネスホテルはまだまだリードタイムが短く、先行きが不透明。稼働率は戻りつつあるが地域はまだまだ低価格競争の様相を脱していない。補助金や助成金をしっかりと利用し、宿の価値を上げることがポストコロナの最重要課題であると考える。

 一方で、この支援策の課題は「観光クーポンの価値の最大化」である。地元飲食店などが地域観光事業支援に対してまだまだ認知度が低く、利用者が旅行を楽しむコンテンツが限定されている現状が地元では発生している。施策の名の通り、宿だけが支援を得るものではなく、宿から地域を元気にする施策であることをわれわれ事業者は胸において地元飲食店や業者との連携を強化していくことも大切だと考える。そのためにも、支払いサイクルの工夫や制度の認知向上を引き続き図り、Go Toトラベル再開の際は、改めて地域全体でお客さまをお迎えできる準備ができるように引き続き責任をもって動いていきたい。

 (委員・小林篤史=長野県松本市・ホテルニューステーション)

    ◇  ◇

 【委員会より】

 本来であれば、2020年に入り、全国一率のGoToトラベル事業が展開されるはずでした。しかし、オミクロン株の流行は全く先を見通せない状況をもたらしています。

 宿泊業は地元の雇用や商品の購入などすそ野の広い産業です。Go Toトラベル事業や県民割に連動した「地域観光支援」の一環としてのクーポン事業も利用者にとっては大きな魅力となっています。小林委員の考えにあるように、宿泊業者のみならず、地元との連携は今後の観光振興を考えるにあたり、非常に重要な視点といえます。動きが止まってしまった時期ですが、今後の復旧・復活に向けてのさまざまなコミュニケーションが望まれるところです。宿泊施設の社内だけでなく、地域事業者との連携が必要になっています。     

 
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