【コロナ新時代への提言】Loco Partners副社長 塩川一樹氏

  • 2021年5月29日

塩川氏

本流課題を見失わないこと

 観光業界の厳しさは、既知の通り。宿泊領域では、旅館、シティホテル、ビジネスホテルのカテゴリごとに稼働差がある。

 深掘りすると旅館は個人客重視の小規模宿が支持され、ビジネスホテルでもサブスクリプション(定額制)企画などの取り組みは注目を集めた。時流にあった宿、新たな市場を見つけようと果敢にトライしている宿に1日の長がある。また旅行代理店にも濃淡がある。店舗型旅行会社とOTA、外資と内資、また網羅型と地域特化型とでそれぞれ状況が異なる。外部環境に対応し、スピーディーに適応できる事業者が支持を集めている印象だ。

 あるべき姿は何か。観光業界にはもともと大きな繁閑があり、稼働を左右する変数がいつも多数存在していることが普遍的特徴であり前提だ。近年高稼働が続いてきたが、本流の課題は、短期・長期のいずれにおいても、サスティナブルに事業継続できる総合的な企業力が必要だ。有事に耐えうる事業ポートフォリオマネジメントに加え、既存顧客はもとより金融機関や周辺取引企業などとの信頼関係も重要な要素だ。

 需要回復に向けた取り組みとして2点挙げる。まずは旅行や宿泊の価値を深く再認識することだ。オンラインシフトが進んだからこそ、五感すべてで体感できるオフラインの価値が高まっている。その地域や宿でしか味わえない、特に味覚や嗅覚、触覚を刺激する非日常ならではのコンテンツを再認識して丁寧に磨き上げたい。次にサスティナブルな経営資源の獲得だ。そもそも前提として日本のGDPの約7割は第3次産業だ。観光や宿泊が含まれるこの無形財でいかに価値を高めていくかは日本の課題でもある。その価値を高めるのはスペックではなく世界観を作ることに行きつく。宿には元来多くの物語があったはずだ。それを磨き込み続けることで「ブランド」となり、ヒトやモノ、カネ、情報に次ぐ第五の経営資源となりうる。需要回復の今こそ、これまでのものと合わせてこの重要な経営資源の獲得を目指したい。

 私たちも観光領域の一員として、これらを認識の上で経営体制や事業運営の強化に取り組んでいる。経営理念の磨き込みや人事制度の見直し、主力事業であるReluxのリブランドやシステム開発、CS領域の強化など。また同時に地域や宿に思いのある新卒や、志の高い中途メンバーを受け入れてきた。既存メンバーは今まで以上に宿の知識を深めながら、懸命に課題と向き合っている。そして各地のさまざまな宿と、この領域のあるべき姿を語り合ってきた。宿の魅力をソムリエのように届けることで、価値ある予約を創出して経営を助けたい。

 コロナ禍で立ち返るべき経営課題を見つめ直し、観光から解決できる社会課題へと挑んでいきましょう。

 
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