【オマツリジャパンの毎週祭日 18】地域全体で子どもの誕生を祝福 お祭りエッセイスト・大塚史織

  • 2020年1月28日

酒樽が空になった瞬間。最後は樽からラッパ飲み

浜松まつり 初練り(静岡県浜松市)

 お世話になっている方のご厚意で、浜松まつりの「初練り」に参加させていただいた。初練りとは、浜松まつりの晩、地域に産まれた赤ちゃん(初子)のお宅数軒に、地域の皆で祭り衣装をまとって順番に訪問し、お祝いをする浜松の伝統的行事。初子のお宅にはそれぞれ立派な酒樽(だる)やご馳走が用意され、お祝いに駆け付けた皆を接待する。初練りにおける「お祝い」とは、大勢でラッパを鳴らし、大声を出し、たくさん飲んで食べて、軒先でめちゃくちゃに騒ぐことを言う。

 私たちも法被をお借りして、掲げた提灯を上下させながら、子どもたちの吹き鳴らすラッパの音と一緒に「ヤイソー!」という勇ましい掛け声で初子のお宅からお宅を練り歩いた。

 数軒を練ってお酒も進み、ぼちぼち出来上がってきたころに訪れた若いご両親のお宅でのこと。お母さんのまぶたにはつけまつげ。お父さんは明るい茶髪。前髪も長く、どことなくヤンチャな雰囲気をまとってわれわれを待ち構えている。「やったるで!」と2人と赤ちゃんを改めて見てみると、立派なご馳走にはあちこちからのお祝いののし紙が付いており、酒樽にはお勤め先と思われる所の名前。

 ご両親は深々とお辞儀をし、われわれを迎えてくださった。「しっかりしとるな」と近くの男性も思わず声を漏らす。本当に立派だ。これからの浜松を支える大切な若い2人とその赤ちゃん。さあ、お祝いを始めよう。

 「ヤイソー!ヤイソー!」。酒樽の前には男たちが入れ代わり、立ち代わり現れ、掛け声とラッパにあおられながら両手に柄杓(ひしゃく)を持って交互の手から酒を飲みまくっている。「ヤイソー!ヤイソー!」。空になった酒樽にお母さんと赤ちゃんが入れられ、神輿(みこし)のように担ぎ上げられる。

 「ヤイソー!ヤイソー!」。感極まったお母さんの目には涙。酒樽の中は濡れていないだろうか。そんなこともどうでもいい!「ヤイソー!ヤイソー!」。私の目にもなぜか涙。お母さん、おめでとう! 皆おめでとう! これぞ祭りだ!と強く思った。

(お祭りエッセイスト・大塚史織)

【オマツリジャパン】
日本初の祭りサポート専門会社。「祭りで日本を盛り上げる」を目標に掲げ、祭りのコンサルティング、プロモーション、日本最大級のWEBプラットフォーム運営など、地方創生に取り組む。https://omatsurijapan.com

酒樽が空になった瞬間。最後は樽からラッパ飲み

 

 
新聞ご購読のお申し込み  ベストセレクション

 メルマガ申し込み

注目のコンテンツ

第35回「にっぽんの温泉100選」発表!(2021 年12月20日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位別府八湯

2021年度「5つ星の宿」発表!(2021年12月20日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」は?

第35回「にっぽんの温泉100選・選んだ理由別ベスト100」(2022年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2022年度「投票した理由別・旅館ホテル100選」(2022年1月17日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒

観光経済新聞の人材紹介

  • 旅館・ホテルの人材不足のお悩み無料相談はこちら
Visit Us On FacebookVisit Us On TwitterVisit Us On YoutubeVisit Us On Instagram