13カ月前の全国一斉休校から始まった新型コロナウイルスの感染症拡大はいまだ収束のめどは立たず、学校行事は厳重な感染防止対策を講じ、その中での実施を余儀なくされることとなった。
修学旅行もコロナ禍では時間や距離や泊数まで縮小するに至るところも現れた。従来から根強くあった遠くへ行きたい志向から、近くても、内容があり、感動があり、教育効果が高い行き先が求められる時代となった。つまりは、交通費が安く、道中の時間も短くなり、それはそのまま内容の充実に向かうことになる。
コロナ禍の生活ではスマホやパソコンを使う時間が増え、ゲームソフトの会社が高収益を上げている。緊急事態宣言が延長されると、若者は我慢の限界などと口をそろえて言うように、スマホやSNSでのコミュニケーションでは満足せず、直接会って話すこと、つまりは人と人の関係の素晴らしさと大切さを実感するに至った。
修学旅行においても、何を見るのか、いくつ回るのかではなく、どれだけの人と出会い、交流し、コミュニケーションをする機会があるのかが、大きな教育的価値となる。生徒にとってこの時代に生きた証となるような体験交流が、生きる力を育むこととなる。
また、「2030年までに貧困に終止符を打ち、持続可能な未来を追求しよう」と大胆かつ新しい「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が2015年9月に国連総会で採択された。そこに盛り込まれているのが、世界を変えるための17の目標「SDGs」。途上国も先進国も含めた世界中の一人一人に関わる取り組みで、2016年1月から実施が始まっている。17の目標を順番に並べ、何がどの目標に合致するのか考える機会が求められており、修学旅行でもその学習の場となることが期待されている。
2022年に向かって、ワクチンの接種が進み、PCRや抗原検査体制が拡大し、安全の信頼度を高めて修学旅行が実施されるだろうと期待が膨らむ。「SDGs」や「体験交流」「教育民泊」を重視し、未来に向かって新しい価値創造を起こす、修学旅行の姿がある。
本紙で次に紹介する15の地域は、安心、安全の新型コロナ対策はもちろん、新学習指導要領の「主体的・対話的で深い学び」と「SDGs」にも対応している。修学旅行の目的地として、ぜひご利用いただきますようお願いいたします。
全国ほんもの体験ネットワーク会長/全国教育民泊協会会長/株式会社体験教育企画代表取締役 藤澤安良