今回はFIT集客のため、インバウンドトレンドをおさえる。2016年10~12月に観光庁が発表した資料をもとにお伝えする。
1、滞在期間
観光・レジャーを目的とした訪日外国人の平均泊数は5・9泊。国・地域別にみると、ベトナムや欧州、カナダ、オーストラリアでは10泊以上と平均泊数が長い傾向にあるが、近隣国の場合は韓国3日、台湾5日、香港5・5日となっており、滞在期間は短い。このように、滞在期間は二極化している。平日の連泊需要を集客したい場合は、欧米・オーストラリア人をターゲットにすべきだ。
2、来訪回数
日本への来訪回数では、「1回目」が38・4%。一方で「10回目以上」も14・3%と意外と多くいる。最近の傾向としてスペインの旅行者は7割が初めての訪問であり、台湾や香港は4~9回目の割合が3割に達している。このように近隣国からリピーターが増えている。
旅行手配方法においては、航空券、宿泊などを個別に手配する人が7割を占めている。手配方法は国・地域によって違いがある。
例えば、インドネシア、ベトナム、インドでは「旅行会社(店頭)」の割合が5割前後と高く。韓国や香港、シンガポール、フィリピン、米国は「OTAやホテル・旅館のウェブサイト」での手配が8割を超えている。
手配の時期では、出発の「1~2カ月前」が43・7%と最も高い割合を占めている。一方、英国、ドイツ、イタリア、オーストラリアでは出発の「3カ月以上前」の割合が6割超だ。集客ターゲットによって、情報を提供するタイミングの検証が必要になる(例えば1月には4月の桜の名所を紹介する)。このことから訪日外国人の集客においても、多言語サイトを整備して直販化を進めることが重要だ。
3、役に立った旅行情報源
出発前に得た旅行情報源で役に立ったものは、「個人のブログ」(29・4%)、「旅行ガイドブック」(17・7%)、「自国の親族・知人」(17・5%)、「旅行会社ホームページ」(16・8%)の順だった。特にアジア(台湾、香港)では個人のブログやSNSで情報入手し、訪問する傾向が増えているようだ。
モノ消費からコト消費にシフトしている状況において、日本でしか体験できないことを訴求し、体験後に満足いただいた感想をブログやSNSで紹介してもらうことがポイントとなる。
訪日外国人を集客するためには、誰に(具体的なターゲット)、何を(自社と地域の魅力)、どうやって(SNSの活用)という、この三つを最低限決めてからスタートすることをおすすめする。
(コレリィアンドアトラクト代表取締役)