
師走を迎えて、毎年恒例であるが、今年の振り返りを行っていきたい。2022年も年明け早々にコロナ(オミクロン株)の流行により低調なスタートとなった。それにより旅行支援の一つであった県民割もストップを余儀なくされ、21年に引き続き厳しい冬となった。その後、3月下旬から各県で県民割が復活し、隣接県へと適用範囲が拡大して、春休みの予約が急速に加速した。この流れはくしくも昨年と全く同じ流れとなった。
春休みが明けた4月以降は県民割が続いたものの鈍化傾向が続き、そのままGWへ突入する。今年のGWの特徴は非常に直近化傾向であった。旅行者全体がコロナを気にしながら、直前で予約を決めるという行動が見て取れた。GW以降は県民割(ブロック割)が月末に次の1カ月分の延長が発表されるという感染状況とにらめっこしながらの状況となったため、旅行者も先の予約をせずに、県民割の延長が発表されてから予約を入れるというサイクルとなり、予約の「超」直近化現象が起こった。
夏を前に全国旅行支援の話が持ち上がり、もともと今年は夏の予約状況が好調であったこともあり期待感が高まっていった。しかしながら、7月中旬ごろに全国への拡大は行わず県民割の延長となることが発表されたため、また発表が直近であったこともあり、7月後半の予約は停滞してしまった。今年も心配された夏であったが、8月に入ると予約は一気に加速してコロナ禍3年目にして久しぶりに良い夏となった。このあたりからウィズコロナ(コロナと共生)のムードが現れ始め、コロナにより予約動向がそこまで左右されることがなくなってきた。
秋になると、予約の直近化傾向も徐々に解消され、10月11日の全国旅行支援のスタートにより需要が一気に拡大した。観光庁の速報でも日本人の宿泊者数が10月はコロナ前を5・8%上回ったというリリースがなされた。ここに来て2年以上に及んだ長い長いコロナとの戦いにようやく区切りがついた。
しかしながら、観光業界において、その2年半でコロナが奪い去ったものはあまりに大きかった。その点を踏まえてアフターコロナにおける観光業界について次号以降で考えていきたい。
(アビリブ・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)