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前号に引き続き、ニューノーマル時代について考えてみたい。
他産業でも今、声高に叫ばれているのは「DX(デジタルトランスフォーメーション)」というキーワードである。DXは、狭義の意味で「デジタル技術を用いて、変革すること」とここでは定義することにする。
新型コロナの影響で、人との接触を極力避けることを前提とした取り組みには、自然とデジタルテクノロジーを活用することが多くなり、全産業でDX化の推進が一気に進もうとしている。それは宿泊業界においても例外ではなく、DX化についてさまざまなものが進むことになるであろう。
例を挙げれば、「スマートチェックイン」。一部のホテルでは既に導入済みで、チェックインの際にタブレット端末でサインのみで完了するチェックイン方式であるが、旅館やリゾートホテルでも今後は増えることになるであろう。
さらに押し進んで、現行法との兼ね合いはあるものの、上海で有名になった「顔認証」チェックインなど、この分野での技術推進は今後も進むと想定される。
次にCRM(顧客管理システム)であるが、こちらもまだ完全デジタル化しているとは言い難い状況であり、いまだに社長、女将、支配人が最強のCRMであるという施設は少なくない。
それはそれで、もちろん大切なことであるが、あまりに俗人的なので、デジタルツールで補完すべき部分であろう。
さらにバックヤード部門(特に調理や料飲)のデジタル化も進んでいないことが多く、これらのことも今後、一気にDX化が進む可能性がある。
また、館内においても今後は検温のためにサーモグラフィーを設置することや、3密回避のために、お客さまの密を可視化する流れが進むと想定されるが、その結果、お客さまの行動範囲やパターンのデータが蓄積され、効率の良い人員配置なども組めるようになる可能性もある。
今まではなかなか、DX化ということに踏み切れなかった部分もあるかと思うが、ニューノーマル時代を迎えて、半ば強制的に考えざるを得ない状況になった。逆転の発想で、どうしたら最大限活用できるのかを考えてみるのも大切なことであろう。
(アビリブ・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)