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前号では2019年の振り返りを行ったが、今号では、これからのホテル旅館業界について述べたいと思う。例年どおり多分に主観が入った内容ではあるが、ご容赦いただきたい。キーワードはいろいろあるが、「脱コモディティ」「アジアの時代」「サスティナブル」という三つを取り挙げたい。
まずは「脱コモディティ」であるが、前号でも述べたように、供給過多&コモディティ化(商品の同質化)する宿泊施設業界において、どう差別化するかが各施設の主題となっている。その中で、昨今の新規オープン施設は明確なブランドコンセプトを持っているケースが増えている。「ミレニアル世代向け」「漫画特化」「ハラル対応」「お寺に泊まる」「e―スポーツ対応」など、今後もあらゆるターゲットに特化した宿泊施設が生まれてくると思われる。逆に言うと、明確なターゲットを持てない施設は、どのターゲットも獲得できないという時代になっていくと思われる。
この流れは飲食業界を見渡しても、総合居酒屋が没落し、専門居酒屋がはやっていることを見ても明らかである。
続いて「アジアの時代」であるが、これは世界の旅行人口においてアジア圏の旅行者が今後急増していくため、アジア圏の人々の取り込みが観光産業において重要事項になるということである。アジア圏では急速な経済成長と同時に、中産階級の可処分所得が増加し、レジャーに費やす機会が拡大するとされているためだ。日本は地理上、有利となるので、この機会を最大限に生かしたい。
最後に「サスティナブル」である。最近耳にすることも増えたと思うが、端的に言えば地球環境に配慮した取り組みがなされているかということである。世界規模で展開しているホテルチェーンなどではすでに取り組みが始まっており、プラスチックゴミが出ないようなアメニティーの見直しを実施することなどが話題となった。
中長期的には環境に配慮した取り組みをしていない旅館・ホテルが選ばれないという時代が来る可能性があるので注視していきたい。
やや大局的な見方となったが、大きな流れの中で、自施設がどのような指針を取っていくのかは戦略上、非常に重要なので、中長期のトレンドとそれを踏まえた取り組みとして2020年に何を実施するかの検討の一助になれば幸いである。
(アビリブ・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)