四季、伝統の味でおもてなし
石川県・和倉温泉の加賀屋(小田禎彦代表)は明治39年創業。屋号には創業者の小田與吉郎氏が加賀・津幡の出身であり、天下に響く雄藩加賀百万石のように大きく飛躍したいとの願いを込めている。
ゆとりとやすらぎの和風空間で、ゆっくりと寛ぐことができる館内には、天女が描かれた輪島塗の大パネルや吹き抜けの壁一面には加賀友禅、その他、輪島塗、加賀友禅、象嵌、金箔、大樋焼など石川県の伝統工芸品が散りばめられており、ただ館内を歩くだけでも楽しい。毎日、午後4時と5時には無料で加賀屋湯番頭が館内を案内する「美術館ツアー」も実施されている。大変人気で、おすすめだ。
もちろん料理にも力を入れる。能登は三方を海に囲まれ、魚の宝庫。その新鮮な海の幸に加え、豊かな能登の風土に育まれた山の幸も豊富だ。「季節に合わせた四季折々の恵みを盛り込んだお料理を準備しております。どの季節にお越しいただいても、加賀屋伝統の味でおもてなしさせていただきます」と同館。
春のコース料理
加賀屋のおもてなしの心は、「いつもお客さまの満足を第一に考え、働いた」という先代女将の小田孝さん(故人)の精神から生まれた。小さな気配り、心配りを基本にした客室係のサービス。今はどこでも見られる習慣、女将たちによるあいさつまわりは、加賀屋で始まったといわれる。「小田孝はお客さまには『できません』とは言わないようにして、一人一人のお客さまと真剣勝負をするつもりで、サービスにあたった」(同館)。その心は今も受け継がれている。
石川県では10月14日~11月26日に国民文化祭が開催され、石川ならではの文化資源を活用した多彩なイベントが行われる予定。この時期に加賀屋を訪れるのもいいだろう。
加賀屋全景