温泉街再生に注力
第1063回よその旅館ホテル
――「楊貴妃浪漫の宿」とは。
「長門市の油谷にある唐渡口という所に船で楊貴妃が流れ着いたという伝承が古くからあります。父である社長が1991年に当館を開業する際、コンセプトに取り入れました」
――「楊貴妃の風呂」があるとか。
「中国・西安郊外の華清池で発掘された、楊貴妃が使っていたとされる浴槽を再現したものです。海棠(かいどう)の花弁の形で、深さは約120センチあります。女性はチェックイン当日に、男性は翌朝にご入浴いただけます。もちろん男女別の露天風呂、内風呂もございます」
――客室は。
「客室数は27室です。萩の名家の座敷を移築した『玉仙の間』をはじめ和室が中心ですが、一昨年このうち2室を改装し、フローリングに木工の家具、そしてテラスが付いた『木』をテーマにした客室にしました。若い世代をターゲットにした新しい試みです」
――自慢の料理は。
「仙崎漁港で水揚げされた魚介など旬の食材を生かした会席料理です。楊貴妃が好んだという薬膳がゆは当館の名物です」
――近年、長門湯本温泉の新たなまちづくりが、全国から注目されていますね。
「温泉街を再生する官民連携のプロジェクトを地域一体で進めています。昨年3月には、若手でまちづくり会社を立ち上げたほか、約600年の歴史を持つ立ち寄り湯『恩湯(おんとう)』を再建し、オープンさせました。長門湯本温泉の入湯税を引き上げ、その増額部分を基金に積み立てて活性化の財源にする取り組みも始まりました。そぞろ歩きが楽しめる景観の整備など、地域の魅力向上に努めています」
【1泊2食付き1万3千円(税別)から】