
大峰山麓の自然を愛でる
第919回よその旅館ホテル
──古くからあるお宿だそうですね。
「創業300年ほど、私で9代目になります。この辺りの旅館は古くから大峰山で修行する行者や参拝客を迎え入れてきました。当館も長い間、参拝客を中心に利用していただいてきました」
──最近の客層は。
「大峰山の参拝客は減ってきていますが、観光客は増えています。関西最大の鍾乳洞である『面不動鍾乳洞』や絶景が楽しめるつり橋『かりがね橋』、洞川温泉の湯などを目当てに、若いカップルからシニア、ファミリーなど幅広くお越しいただいています」
──宿の売りは。
「まずは庭園でしょうか。数寄屋風の木造の館には前庭と中庭の二つの庭園があり、大峰山麓の雄大な自然という借景と共に、四季折々の花や紅葉などを愛でていただけます」
「料理も自慢の一つです。土地のものを使った会席料理になります。洞川温泉の近くには大峰山系に由来する名水『ごろごろ水』があります。このごろごろ水を使った、のど越しの良いとうふ『名水とうふ』は朝食の湯豆腐などで楽しんでいただいています。地元産のアマゴやマスは、鮮度を生かしてお刺身でお出ししています。冬には大峰山で取れたイノシシを使ったぼたん鍋も召し上がっていただけます」
──経営の課題は。
「人材の確保などいろいろとありますが、設備の維持でしょうか。木造の建物なので傷みやすく、補修、改修は付き物。とはいえ資金面を考えると、思うようにできないのが悩ましいところです」
「昨年、館内で開催したジャズコンサートが好評で、今年も秋に行う予定です。こういった新しい取り組みもしていきたいですね」
【11室、1泊2食1万5千円から】