ぬる湯と地の味が自慢
第595回よその旅館ホテル
──温泉と食にこだわっているとか。
「信玄の隠し湯として知られる温度32度のぬる湯と、05年に掘った51度のあつ湯、この2つの協同源泉から引湯しています。どちらもアルカリ性単純温泉です。露天風呂など4つの浴場はいずれも源泉かけ流しで、ぬる湯とあつ湯の両方を楽しめるようにしています。特にぬる湯は血液の循環を良くするとされ、大相撲の魁皇関も療養にいらっしゃいました」
「食事は、季節の地元の食材を使い、毎月内容を変えて提供しています。生きのよいヤマメやこれからの時期は豊富にとれるキノコを使ったメニューです。ぬる湯に浸した大豆で女将が仕込んだ味噌も料理に使っています」
──客層は。
「県内の方は4割ほどで、その他は首都圏や静岡のお客さまです。中高年の方の割合が高いですが、インターネットの普及で、名古屋や三重、岡山などの遠方の方や若い方も見えるようになりました。予約ルートは、直予約とネットエージェント経由が半々です」
──経営上の課題を教えてください。
「山間部で立地条件が悪いため館内のバリアフリー化に苦慮しています。中高年の方、体の不自由な方にもっと多く泊まっていただき、ぬる湯につかって元気になってほしいのですが、現状、対応できないのが悩みです」
「下部への宿泊客もここ2、3年減少しており、活性化のため皆で『魅力づくり協議会』を立ちあげ、源泉水を使った味噌づくり体験プランなどを企画して、温泉全体を盛り上げるために工夫を重ねています。もっと多くの方に下部の湯の良さを知ってもらえるよう、さらに情報発信をしていきたいですね」
【19室、1泊2食1万3800円から】