熊野古道の秘境宿
第943回よその旅館ホテル
──お宿の一番の売りは何でしょうか。
「高野山から熊野本宮大社への参詣道の途中、奥高野の大自然の中の一軒宿という立地です。当館のある野迫川村は人口420人あまり。信号もコンビニエンスストアもありません。お越しいただくにも手段は自家用車か宿の送迎車、徒歩のみです。だからこそ、日常を忘れて美しい星空や雲海の絶景などを楽しんでいただけます」
──お食事は。
「地産地消を心掛けています。村に関西最大のアマゴの養殖場がありますので、すべてのプランにアマゴの塩焼きが、朝食には珍しいアマゴの一夜干しが付きます。会席の場合には洗いや南蛮漬けもお出ししています」
「今一番の人気はオリジナルの『カシキ鍋』です。これはカモ、シシ、キジ肉を地元産の野菜と共に召しあがっていただく醤油仕立ての鍋です。地元で捕れた3歳未満のメスの猪肉を使っていますので臭みもなく3種のお肉のうまみを存分に味わっていただけます」
──客層は。
「高野山参拝や熊野古道を歩かれる方が多いです。また村唯一のホテルですのでビジネス利用もあります。最近は欧米のお客さまも多く、昨年は355人お越しになりました」
──経営の悩みは。
「人材不足です。特に若い人手がない。急な団体などのお話があっても、対応できずお断わりしなければならないこともあります」
──今後取り組みたいことはありますか。
「村の人と協力して地産地消100%にしたいですね。あとは地元産品を使った加工品づくり。今も食事処でシカ、シシを使ったコロッケやカレーを提供し好評なので、地元の特産品として販売できるようにしたいです」
【31室、1泊2食1万800円から】