中小に最大200万円の給付
納税猶予、民間も実質無利子融資
政府が7日に閣議決定した総額108兆円規模の新型コロナウイルス感染症緊急経済対策は、「新たな給付金制度の創設をはじめ、あらゆる政策手段を総動員し、雇用と事業、国民の生活を守り抜く」としている。旅館経営に関係する四つの施策について、主な部分の内容を整理した。
■給付金
「事業継続に困っている中小・小規模事業者等への支援」として、事業全般に使える新たな給付金「持続化給付金」制度を創設する。
事業収入が前年同月比50%以上減少した事業者に、大企業(資本金10億円以上)を除く中小企業などの法人は上限200万円、個人事業主は同100万円で、その減少額を給付するものだ。
給付額となる売り上げ減少分は、前年1年間の総売り上げから、前年同月比で50%以上減少した月の売り上げに12(カ月)を掛けた数字を引いた額。今年1~12月の期間中、50%以上減少した月が1回でもあれば給付の対象となり、どの月を計算式に入れるかは事業者が選択できる。
申請は基本的にウェブで受け付ける。補正予算の成立後、1週間程度で受け付けを開始。給付金は申請後、2週間程度で申請者の銀行口座に振り込まれる。申請の際は住所、口座番号に加え、法人の場合は法人番号、2019年の確定申告書類の控え、減収月の事業収入額を示した帳簿などが必要。詳細は4月最終週をめどに経済産業省が公表する。
■助成金
雇用調整助成金は、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者の一時休業や教育訓練を行い雇用の維持を図った場合、その休業手当や賃金相当額の一部を助成する制度。
4月1日から6月30日は緊急対応期間として、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける全ての事業主を対象に特例措置を行う。
助成率は中小企業で従来の3分の2から5分の4、大企業で2分の1から3分の2に引き上げる。解雇などを行わない場合は、中小企業は10分の9、大企業は4分の3へとさらに引き上げる。
支給額は労働者1人1日8330円が上限。支給限度日数は通常時で年間100日だが、特例措置はこの限度日数とは別枠となる。
従来、対象とならなかったパート、アルバイトなど雇用保険被保険者でない非正規労働者も支給の対象となる。
申請時の記載事項は従来の73から38へと約5割削減。必要な書類も削減するなど手続きの簡素化を図った。
■融資
実質無利子、無担保で、元本の返済を最大5年間猶予する融資制度を政府系金融機関に加え、地方銀行、信用金庫など民間の金融機関でも受けられるようにする。都道府県の制度融資を活用。都道府県を介した国から金融機関への利子補給で当初3年間の借り入れを実質無利子にする。
日本政策金融公庫など政府系金融機関による実質無利子、無担保の融資は継続する。日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は、直近1カ月の売上高が前年または前々年同月比で5%以上減少している事業者の設備資金、運転資金を融資。元本の返済を最大5年間猶予。直近1カ月の売上高が中小企業で20%以上、小規模企業で15%以上減少した事業者は国の利子補給で3年間を実質無利子にする。
■税制
収入に相当の減少があった事業者の国税、地方税、社会保険料について、無担保、延滞税なしで1年間、納付を猶予する特例を設ける。
国税は2月1日から来年1月31日までに納期限が到来する所得税、法人税、消費税など、ほぼ全ての税が対象。年金や健康保険など社会保険料も支払いを猶予する。
2月以降、1カ月以上の任意の期間で収入が前年同期比でおおむね20%以上減少している事業者に適用する。
地方税の固定資産税は中小企業に対し、2021年度分の1年分に限り納付を減免する。
2~10月の収入が任意の3カ月間で30%以上50%未満の減少で半額、50%以上の減少で全額を免除する。