第三セクター鉄道40社が連携
第三セクター鉄道等協議会は7月10日、全国40社の第三セクター鉄道会社との共同企画として、御朱印帳ならぬ「鉄印帳」の販売と「鉄印」の記帳を開始した。鉄道ファンや観光客の熱い支持を受け、初版5千部は完売。増刷した1万部もすでに完売状態になっている。新しい「鉄旅」を提案し、鉄道の利用者増、地域経済、観光業の活性化につなげる。
鉄印帳と鉄印
鉄印帳は2200円(税込み)で販売。鉄印帳を購入して、各鉄道会社の指定窓口で乗車券の提示と記帳料(300円から)を支払うと、各社のオリジナル鉄印がもらえる。鉄印は、手書きやスタンプ、プリントなど各社工夫を凝らしたデザインとなっている。
鉄印帳に記載されている鉄道会社の鉄印を全て集めた人の中で希望者には、シリアルナンバー入りの「鉄印帳マイスターカード」を有料で発行。また、読売旅行が運営する旅専門のウェブサイト「たびよみ」に名前が掲載される特典がある。
熊本県を中心に発生した令和2年豪雨災害の影響で運休している「くま川鉄道」(熊本県人吉市)は、鉄印をウェブで販売している。世界で初となる線路と道路を両方走るDMV(デュアル・モード・ビーグル)の本格的営業運行を目指す阿佐海岸鉄道(徳島県海陽町)は、DMVが運行する来春ごろから鉄印の記帳を予定している。現在、阿佐海岸鉄道がDMV工事で記帳できないため、39社の鉄印を集めた人に鉄印帳マイスターカードを発行している。
鉄印帳の販売に際して、日本旅行と読売旅行が事業を応援。「鉄印帳の旅」と題したツアー商品を販売している。
鉄印の人気について、同協議会の吉田捷治事務局長は「くま川鉄道の永江友二社長が『御朱印なようなものができないか』と言ったことがきっかけ。鉄印帳は40社が連携して行う初めての企画だ。18社が運行する観光列車や全国各地の観光スポット、ご当地グルメなどとともに鉄旅を楽しんでもらいたい」と話す。本棒公二事務局次長は「鉄印帳の初版は紺色のみだったが、増刷からはピンク色、緑色、水色、黒色を追加した。鉄道ファンの男女比は、男性が9、女性が1と女性が少ないが、鉄印帳に関しては女性からの問い合わせも多い。新たな鉄道ファンの獲得、リピーター化を目指す」と意気込む。
鉄印帳を手にする本棒事務局次長(左)と吉田事務局長