国土交通省の本保芳明・総合観光政策審議官は4日、専門紙向けの定例会見で、来年度の組織・定員要求に盛り込んだ観光庁の新設について、観光立国推進基本計画の目標を実現するために必要な体制だと説明した。一方で「要求にはこぎつけたが、実現はそう簡単ではない」として行財政改革の動きなどを挙げ、今後の折衝や調整に向けた努力が不可欠であることを強調した。
観光庁の必要性としては、(1)海外に対して、日本政府の観光部門トップの顔を明確にする(2)基本計画の目標実現に向け、観光庁を軸に関係省庁との連携を強化する(3)地域、民間への窓口を明確にし、観光地づくりへの支援を強化する──の3点を挙げた。
観光庁の新設には、財務省などに要求が認められ、関係法案が国会で成立することが必要だが、「確実にできるというほど、甘い情勢ではない。むしろ実務的にはかなりの汗をかかないと実現できない」と述べた。
国交省全体としては、船員労働委員会の廃止、海難審判庁と航空・鉄道事故調査委員会の統合といった外局の再編、全体の人員減などを進め、来年度への組織・定員要求は、行政組織の肥大化にはあたらないという見方もできる。
しかし、本保総観審は「政治情勢は流動的な面があるほか、国家行政組織全体からすれば、社会保険庁がなくなるなどの流れの中、新しい庁を作るというのは、行革的な見地からすれば、(流れに)逆行するという見方もあるはずだ。関係省庁、国会の対応もいろいろあると思う」と指摘した。