
藻谷氏が講演した
観光経済新聞社が加盟する日本専門新聞協会(東京都港区)は1月25日、新春講演会を東京都千代田区の経団連会館で開いた。日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介氏が、「日本の進む道―本当のところどの点がダメで、どの点が大丈夫なのか? そして生き抜くためにどう対処したらよいか―」をテーマに講演した。加盟各紙の読者200人を無料招待した。
藻谷氏はまず日本の国際競争力ついて対外輸出額をもとに説明。「輸出額は1990年代と比較して倍増しており、精密機械などで使われる部品や素材などのハイテク機器分野が堅調に推移している。特にアメリカ、イギリス、ドイツ、中国、韓国といった国々に対する貿易黒字は好調」と評価した。
その一方で、日本が対外貿易赤字を計上する国の例としてイタリアやスイスを紹介。これらの国の特徴として「(1)観光立国である(2)高い人件費と短い労働時間(3)大都市がなく農山漁村に経済力・競争力がある(4)地元意識が強く地産地消―などが挙げられる」とした。日本にも海外から高い評価を受けている伝統工芸品や食文化などがあり、観光立国となる潜在性に触れつつも、高い労働生産性の実現や地方の経済力強化の重要性を主張した。
このほか、日本経済低迷の根本的な要因として「賃金が安く消費が伸びていない」ことを指摘。日本が得意とする産業で外貨を稼ぐことに加え、産業力のある企業が商品の値上げを通じて賃上げを実施し、内部留保などで眠っている金を消費に回すことが好景気への転換に向けた現実的な解決策であると解説した。
藻谷氏が講演した