
講演する寺田氏
宿泊施設関連協会(=JARC、東京都千代田区)は1日、第75回JARCゼミナールをハイブリッド開催した。
伊勢志摩鳥羽の温泉旅館「戸田家」の寺田善光取締役が「多様化する現代社会の中での、旅館業における日本式経営と欧米式経営の融合」と題して講演。家族経営の旅館の中の人間としての立場から、ロンドンでのホテル勤務経験も踏まえて、国内外のホテルで当然のように行われていることが、特に地方の旅館等で行われていない現実と今後の展望について語った。
寺田氏は日本式経営(地方旅館・個人経営ホテル)について(1)女性が活躍する業界で「女将」が特徴的。英語、海外言語に同種の単語は見当たらない(2)施設は木造が基本だった(3)参勤交代や伊勢詣り等で出来上がった(4)属人的で個人頼みになっている(5)長く勤務する習慣がある(6)財務的には無限責任―などと説明。欧米式経営(欧米式ホテル)については(1)完全な階級社会の欧米では、貴族向けのものであり、一般庶民の旅行はまれだった(2)ホテルは近現代になってから欧州よりも早く米国で発展した。国籍、言語、文化の違う人種が1カ所で働くため、機能分業が進んだ(3)施設は石造りだった(4)M&A、スクラップアンドビルドなど商品としてのホテル企業(5)長年地域に根付いている宿屋は海外にもある(6)財務的には有限責任―と話した。
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