「医学を地域活性化と産業の振興に生かす」 奈良県立医科大学ら3者が連携


締結式の様子。中央が細井氏、その左が高田氏、右が川本氏

 奈良県立医科大学(奈良県橿原市)、一般財団法人MBTコンソーシアム(同)と、よい仕事おこしフェア実行委員会(事務局・城南信用金庫)は2月27日、医学を基盤とする地域の活性化と産業の振興を主な目的とする包括連携協定を締結した。その一環として同医科大学の理事長兼学長の細井裕司氏が発見した「軟骨伝導」の技術を活用させた新商品づくりや同技術を信金の窓口業務などに活用していく取り組みなどを発表した。

 奈良県立医科大学が積極的に推進するMBT(Medicine―based Town)は、医学的発見を研究や医療のためだけでなく新たな産業の創生やまちづくりに用い、イノベーションを起こすことを目的とするもので、昨年末時点で多種多様な全国200超の企業が同コンソーシアム会員となっている。

 今回の連携では、細井氏と奈良中央信用金庫理事長・高田智彦氏、城南信用金庫理事長・川本恭治氏が連携協定に調印した。


締結式の様子。中央が細井氏、その左が高田氏、右が川本氏

「第3の聴覚」軟骨伝導とは

 連携の第一歩として、3者は細井氏が2004年に発見した「第3の聴覚」と呼ばれる軟骨伝導の活用の推進を図る。軟骨伝導は、外耳周辺の軟骨を振動させることで外耳道内に作りだされた空気振動を鼓膜が捉えて音を聞く方式。同伝導システムを利用したイヤホンは耳の軟骨付近に軽く沿えるだけで音を拾えるので、(1)使用中も通信音や周囲の音が聞こえる(2)周囲への音漏れがない(3)耳の奥まで挿入する必要がないので衛生的で、外耳炎や外耳道真菌症を起こさない―などの利点を有する。

 同システムの金融機関での導入が推進された要因には、窓口業務特有の秘匿性から生じるジレンマが挙げられる。川本氏は「多くの窓口では視力が弱い方のために老眼鏡は置かれているが、聴力が弱い方のための機械が置かれていない」という現状について言及。「コロナ禍でパーテーションが置かれていることもあり、大きな声でやり取りしている人の姿をよく目にする。しかしお金に関するセンシティブなやり取りは他人に聞かれたくないもの。軟骨伝導はそんなお客さまの助けになると期待している」と述べた。高田氏と川本氏は今後、奈良中央信金と城南信金の各店舗の店頭に軟骨伝導システムを設置していく方針を併せて示した。

デモンストレーションを実施 観光業界でも活用の余地大きく

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