経済同友会(代表幹事・櫻田謙悟SOMPOホールディングスグループCEO取締役代表執行役会長)は13日、「国際水準の水際対策で将来の観光立国実現への布石を」と題する提言を発表した。政府が現在実施している水際措置では、インバウンドやMICEの回復は困難だとして、個人旅行の早期解禁、査証(ビザ)免除措置の再開などを要望した。
提言では、政府が7日に開始した水際措置の緩和策について、岸田文雄首相は「他のG7諸国並みの円滑な入国」を目指す方針を示しているが、「今回の措置では、制限が撤廃された他のG7諸国には及ばず、欧米などと比べて制限の厳しい ASEAN諸国を含む国際水準の観点からも不十分」と指摘した。
現行の水際対策である「入国数制限」「個人手配旅行の禁止」「査証取得義務」によって「面倒で手間がかかる日本」というイメージが先行しており、国際線の回復状況でも、他のG7諸国やASEAN主要国に後れをとっていると現状を危惧。地方へのインバウンド誘客、MICEの誘致も困難になっていると問題視している。
国際線の復便のめどが立たなければ、インバウンドへの影響は来年以降にも及ぶとして、早期に次の施策を実施するよう求めた。
①先進国で9割以上を占める個人旅行の解禁を早期に実行し、旅行客を地方にも広げる。
②コロナ前と同様のビザ免除措置を再開する。
③入国者数制限を撤廃し、日本が「開国」している印象を明確にする。
④地方空港を含む国際航空便の復活とMICE誘致に向けた戦略を立案する。
今回の提言について経済同友会観光再生戦略委員会の伊達美和子委員長(森トラスト代表取締役社長)は「世界の旅行が回復している中で、訪日ニーズは極めて強いものがあるが、日本の水際対策であるビザ取得や個人旅行禁止が足かせとなり、訪日数は伸び悩んでいる状況にある。極めて迅速に水際規制の撤廃を宣言し、世界に日本の真の『開国』を印象付け、今冬の諸外国からの個人旅行を取り込むことで、数少ない円安のメリットを享受すべきだ」と指摘している。