プラスチックごみの削減とリサイクル強化を目指す「プラスチック資源循環促進法」(プラスチック新法)が4月1日から施行される。使い勝手のいいプラスチック製品と廃棄物について、消費者や事業者に行動変容を求める法律だ。削減対策が義務化される特定プラスチック製品は12品目で、取り組むべき事業者の中には旅館・ホテルも含まれている。新法施行で”脱プラ”の機運が高まることが予想され、旅館・ホテルも無関心ではいられない。
12品目は、小売店や飲食店などで提供されるスプーンやフォーク、ナイフ、かき混ぜるマドラー、ストローなどのほか、旅館・ホテルで用意されているくしやヘアブラシ、歯ブラシ、シャワーキャップ、かみそりなど。
年5トン以上の使い捨てプラスチック製品などを使用する事業者に計画的な削減を求めており、宿泊施設では大手のホテルチェーンなどが対象になるのではないかとみられている。
「当館の使用量は年4トンほど。規制対象外だが、SDGs(持続可能な開発目標)活動を展開しており、できるところから脱プラ化を進めていく」というのは岐阜・下呂温泉の水明館。朝食会場で提供するプラスチック製のマドラーを紙製品に代えていくといった具合だ。切り替えに伴いコストも多少増加するとみている。
群馬県のある旅館の女将は「当館のアメニティは歯ブラシ、かみそり、シャワーキャップ、くし、ヘアブラシ、タオル、ボディタオル、コットン、綿棒などです。年間コストは合わせて100万円弱」という。「ビジネスホテルなら『使う分だけお持ちください』でもいいのでしょうが、旅館は至れり尽くせりが当たり前。どう対応するか、しばらくは様子を見る」と話す。
「プラ製品を違うものにしたところで、結局使い捨てならごみは減らないわけで、あまり意味があるとは思えない。問題はプラスチックより、ごみを減らすことでは」との思いもある。
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