日本商工会議所(会頭・岡村正東芝相談役)は2日、今年度の「全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞」の大賞に佐原商工会議所(千葉県)を選んだと発表した。表彰式は24日、福岡県北九州市で開催する「全国商工会議所観光振興大会in関門」で行う。
同賞は日商が2008年に創設。地域活性化や観光立国に向けた取り組みを促進することを目的に、毎年実施している。
佐原商工会議所の受賞理由は「まちづくり型観光の推進」。
日商によると、同商工会議所は、00年度に佐原市(現香取市)が観光による地域振興を掲げ、中心市街地活性化計画を策定したことを受け「相手は世界 江戸優りの大商い」を理念とする構想を打ち立てた。
03年度以降は、まちづくりフォーラムや軒下コンサートの開催など、まちのにぎわい創出事業に取り組んでいる。10年度に香取市とともに「集客・観光・交流アクションプラン」を策定、江戸優りの理念を深化させていることが評価された。
「きらり輝き観光振興賞」には伊勢商工会議所(三重県)の「お伊勢さん観光案内人と元気再生事業」、広島商工会議所(広島県)の「広島湾域体験型修学旅行の誘致推進」が選ばれた。
お伊勢さん観光案内人は、ご当地検定「お伊勢さん」の上級合格者が担う。個人や小グループの観光客のニーズに応じた案内を行っており、「毎年着実に依頼件数が増え、採算のとれる事業に成長、補助金に頼らない独自のビジネスモデルになっている」という。
広島の取り組みは、商工会議所が中心になって00年に設立した広島湾ベイエリア・海洋都市圏研究協議会の活動が評価された。
同協議会は広島、山口両県にまたがる広島湾域(13市町)の自治体、商工会議所、民間企業などで構成。瀬戸内の島々の魅力を生かした体験型修学旅行誘致を推進しており、今年も既に全国各地から中学・高校24校(約3800人)を呼び込んでいる。
「観光立“地域”特別賞」はひたちなか商工会議所(茨城県)の「ファイト&スマイルひたちなかご当地グルメ」、久留米商工会議所(福岡県)の「B級ご当地グルメでまちおこし」に。
いずれも食によるまちおこしだが、久留米では市民参加・体感観光型の「食の八十八カ所巡礼の旅事業」を始動させ、ご当地グルメ店を観光資源化。最近では「久留米まち旅博覧会」と連動させ広がりを持たせている。
奨励賞は長井商工会議所(山形県)、上田商工会議所(長野県)、下諏訪商工会議所(同)が受賞した。
香取市の重要伝統的建造物群保存地区(佐原商工会議所のHPから)