【体験型観光が日本を変える47】未来を思う志が必要 藤澤安良


 北朝鮮情勢が緊迫する中で衆議院が解散し、大義に説得力がない党利党略、議席、保身、欲得だけが見える、国民の思いとは遠い選挙戦に突入した。有権者の良識が問われる政権選択選挙の様相を呈してきた。平和な国のはずの米国でも、銃の乱射による無差別殺人事件が起こり、戦争でなくても60人近くの死者と500人を超える負傷者が出るという大惨事となった。不満やいら立ちが募っているのか、銃規制だけでなく、背景に何があったのか究明されなければならない。

 今年のノーベル平和賞は、核兵器の非合法化と廃絶を目指す国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)が受賞することとなった。日本が米国と共に参加していない、今年の核兵器禁止条約の成立への貢献も大きな受賞要因となった。置いていかれている感は私だけではない。

 過日の訪日旅行商談会「ビジットジャパントラベル&MICEマート」でも外国人バイヤーが、日本への旅行で北朝鮮との関係悪化は懸念材料であると言っていた。特に、修学旅行では保護者から「今は日本でなくてもいいのでは」という意見が出ていると言う。対話と圧力は分からなくもないが、罵倒、悪口は米国に追随する必要はない。観光産業は平和があってこその産業である。ICANのノーベル平和賞の受賞は現在の地球に何が尊く必要なのかを示したものである。

 平和はもちろん、日本の田舎の活性化を願い続けて、東奔西走の日々である。地方にとって国からの補助金、交付金は有り難いが、使い道や仕組みで有り難くないものも多い。忖度や口利き、圧力やしがらみなども垣間見る機会が少なくない。お金があっても、どこかに丸投げしたり、地域で食べてしまったり、大きな組織や会社に任せても結果は生まれない。本質とほんものがなおざりになり、書類量ではなく、行動量が大切で、アリバイ事業ではなく、未来に成果を見いだせる事業推進が問われなければならない。

 期待が大きい事業である国の農泊推進事業の追加交付53地区も発表され、1次と合わせて214地域となった。交流が生まれない空き部屋貸しの家主不在型民泊とは全く違い、在宅ホームステイ型の民泊は、体験交流を理念としており、教育旅行や企業研修にも広がりつつある。さらには、過日の外国人バイヤーとの商談でも、国際交流が旅の目的でもあることからも注目度が高く、インバウンドにも期待が大きい。

 だからこそ、その財源が着実に成果につながる事業にすべきだ。すでに全国に約1万5千軒の農泊、渚泊が存在していることからも、利用者数の総体の拡大が不可欠である。現在でも、受け入れ組織や民家のクオリティに大きな差があることから、高いレベルでの平準化が求められる。地域間競争も激化する中、崇高な理念を持ち、安全、安心で教育効果の高い受け入れ地域が生き残ることになる。自分振興ではなく、日本や地域の未来を思う志の高い人々が行うことによってのみ地域振興は成功する。

 
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