【体験型観光が日本を変える23】日本の魅力の再発見 藤澤安良


 大阪や京都、広島に出張予定があり、ホテルの手配をしようとするのだが、数年前なら、ネットで5千円前後でとれたホテルが、部屋も設備も変わらないまま、2倍から4倍のホテル代となっている。元々安すぎた感はあるので1万円ぐらいならいいのだが、公務員や会社の旅費規程では収まらない状況が相次いでいる。訪日外国人が多いことによる需給バランスによるものであろうが、外国人にもホテル代が高いと評判が良くない。

 過日は数回目ではあるが、誰もが知るリゾートのグアム島に行った。そこは20年以上前からマリンやアウトドアスポーツの体験プログラムが豊富であり、日本人が手頃な海外旅行の適地として繁栄してきた。さらには、アウトレットモールや免税品店などを巡る便利なバスがある。そのおかげで、ショッピングモールも繁盛している。いずれにしても2次交通は重要である。日本人が多かった名残りでバスの名前が赤いシャトルバスと言い、行き先はカタカナで書かれており、店の看板などいろいろなものが日本語表示となっている。

 昔よりおいしくなったのは日本食だけ、その他の料理はおいしいものを探すのが大変で、食事が進化していない。日本人に手厚い島だが、現在は韓国人が一番多く、さながらソウルのようであった。そのグアムへの航空機の往復も半分以上が外国人である。日本人にとっては航空券がとりにくく海外へ行きづらい条件が重なっている。それは、旅行業界の海外旅行取扱額の増加につながらないこととなる。

 そんな中、格安海外旅行商品などを取り扱う「てるみくらぶ」が破産した。私も利用したことがあり、一時は先見性があったと思ったが、業界の変化の中で集客策を新聞媒体に頼りすぎたようである。他の会社は大丈夫なのかと、同業他社への不安が広がることになる。

 これからのインバウンドは、ホテル代が高騰して取りにくい首都圏、富士山麓、京都、関西圏のゴールデンルートの都市部ではなくても大きな可能性がある。1泊数万円もする温泉旅館でもなく、1泊1万円前後で、山岳風景や田舎の原風景、地産地消の食事、温泉、体験プログラムやトレッキングなどの整備が集客の要因となるが、それに加えて2次交通の整備もあればより良い。その要素が整えば、外国人のみならず、日本人の旅のスタイルが大きく変わることになる。

 観光地を走り回らず、外国産や出来合いの惣菜が多くを占める一部の旅館・ホテルのバイキングではなく、連泊滞在、体験・交流、地域食を堪能する日本の魅力と誇りを再発見する旅のキャンペーンが必要になる。

 それこそが地方創生の答えとなる。チャンスは気づいて動いた地域にのみやってくる。

 
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