【インターネット徹底集客163】閑散期の割引の再考 内藤英賢


 冬季は閑散期となる地域が多く、集客に苦慮している施設が多い状況となっている。従って、どうしても一人でも多くのお客さまを集客したいという話になってくる。

 そして、その集客の話になると、誰もが真っ先に浮かぶのが割引や値下げという発想である。もちろんお客さまには予算があり、周囲には競合があり、お客さまが求めやすい価格を提示するという手法は集客施策の柱であることは間違いない。

 しかし、根拠のない「単なる割引合戦」となっている地域が多くなっているように見受けられる。A社が千円割引プランを出してきたので、B社は1500円割引プランを販売し、それを見たA社が再び2千円割引のプランを出すというような負のスパイラル状況である。結果、その2施設が割引合戦をやるがために、周囲の施設も引っ張られて、その地域全体が、不要にただ安くなっている状況が生まれてしまう。

 そもそもの大前提として、割引をして集客するには割引した分を上回る集客をしないと意味がない。つまり、元々閑散期には100人しか来ないとして、1万円で売っていた施設が8千円にした時、8千円×100人=80万円となり同じ客数しか来ないのであれば、単に売り上げ20万円ダウンとなり、やらない方がマシであったという話になる。

 この単純計算式に当てはめると、125人集客してようやく売り上げは同等となる。しかし、当然ながら変動費がかかるため、営業利益を考えると、1万円で100人集客の方が良いという結果になるのである。また、集客に応じて人的コストなども異なってくる。従って、割引する場合は、どれくらいの集客で、収益性がどうなるのか、を事前検証する必要がある。それをせず、効果の不明な割引を繰り返すことは大きな自施設や地域への大きなマイナスとなることもある。

 特にWEBは容易に割引ができてしまうだけに注意したい。割引をするなという話ではないので、くれぐれも誤解をしないでいただきたいが、割引をする時、その割引が本当に意味のあるものかどうか、よくよく考えてほしい。

 (アビリティコンサルタント・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)

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