国際会議開催の経済波及効果は5905億円、観光庁が初の算出


 観光庁は、2016年度に実施した調査事業の成果として、国際会議の開催がもたらす経済波及効果を初めて算出した。15年に国内で開催された一定の基準を満たす国際会議2847件の経済波及効果を5905億3千万円と推計。国際会議の誘致、開催の経済的な重要性を数値で明らかにした。MICE振興の意義を示すデータ、マーケティングのデータとして、自治体やコンベンションビューローに活用を促す。17年度は、企業の報奨旅行や展示会も対象としてMICE全体の経済波及効果を捉える予定。

 国際会議に参加する訪日外国人の個人消費については、「訪日外国人消費動向調査」の中で算出してきたが、国際会議の主催者や出展者による支出は調査の対象外だったため、経済波及効果の全体像がこれまで把握できていなかった。

 調査は、日本政府観光局(JNTO)の統計基準を満たす国際会議が対象。基準は参加者総数50人以上、日本を含む3カ国以上の参加など。参加者、主催者、出展者にそれぞれサンプル調査を行い、支出額を算出して経済波及効果を推計した。

 国際会議の参加者1人当たりの宿泊、飲食、交通、買い物、観光などの消費額は、日本人が5万5292円、外国人が26万3732円。開催数が多く、参加者の消費額が高いと言われる医療関係の国際会議の参加者について見ると、日本人は6万1796円、外国人は32万5948円だった。

 参加者1人当たりの消費額、主催者や出展者の1会議当たりの支出などから算出した15年の国際会議に伴う総消費額は約3299億2千万円。内訳は日本人参加者が880億1千万円、外国人参加者が461億6千万円、主催者が1284億7千万円、出展者が672億8千万円だった。

 経済効果については、総消費額から外資系航空会社など海外への支出分を除いた直接効果が2655億2千万円、産業連関分析によって算出した間接効果が3250億1千万円。合わせた経済波及効果は5905億3千万円となった。

 経済波及効果のうち三大都市圏(同調査では東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、京都、兵庫、愛知、三重、岐阜の10都府県)にもたらされた分が3722億2千万円、三大都市圏以外の分が2183億1千万円だった。

 雇用効果(雇用誘発数)は5万3512人で、内訳は三大都市圏が3万3719人、三大都市圏以外が1万9793人。税収効果(誘発税収額)は454億8千万円で、内訳は三大都市圏が288億8千万円、三大都市圏以外が166億円と推計された。

 国際会議の経済波及効果の算出手法、活用方法などは、観光庁が設置している有識者会議、MICE国際競争力強化委員会の小委員会(座長・菅幹雄法政大学経済学部教授)で検討した。国際会議の経済波及効果に関する定期的な調査の実施については、今後の課題となっている。

 他方で観光庁は17年度調査事業として、MICEのうち国際会議以外の企業の会議、企業の報奨・研修旅行、展示会などについて経済波及効果の算出に取り組む。ただ、国際会議のように普及している統計がないため、集計対象の定義や範囲の設定、開催件数や参加人数の把握などが課題。有識者の意見を聞きながら算出を目指す。

 
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