旅館・ホテルの人材採用難や高い離職率が深刻な問題となっている。人材不足のために、せっかくの増収のチャンスを逃してしまったり、口コミ点数が下がってしまったり、再生プランが達成できなくなったりという問題が日本各地で起きている。今回コラムでは、すぐに取り組める人材採用・定着化のための対策テクニックを紹介しよう。
■待遇を前面に出す
若いスタッフを獲得するならば、金銭以外の待遇を前面に出すと応答率が高まる。例えば、「月8日休み、各種手当充実、賞与年2回、リフレッシュ休暇あり」というタイトルで求人を出したところ多数の応募があった。
昔は、仕事を覚えてもいないのに休みのことを言うべきではないという風潮だったが、今は応募者が最も気にする項目の一つとなっている。
人繰りや人件費が厳しければ、リフレッシュ休暇(有給休暇優先取得制度)の導入を先行しても良い。月ごとの繁閑の差が大きい館であれば導入しやすいだろう。週休2日(年間休日108日)は最低限クリアし、できれば年間休日118日以上となれるよう業務効率化を進めよう。
■さまざまな働き方に対応する
フルタイムの正社員が人気を集める時代ではなくなった。週4日勤務や時短勤務の正社員や早朝勤務だけのパート社員など、柔軟な働き方に対応できるよう就業規則を見直してみよう。
例えば、「高時給、期間3カ月、週払い、高校生OK」という求人を出したところ多数の応募があった。特に料飲サービスや清掃部門で人手不足に悩んでいるならば、総務人事部門の負担は大きくなるが、週払い制度を導入することも一案である。
■自社サイトに求人ページを設置する
自社サイトに高額の制作費用を使っているならば、求人ページも充実させた方が良い。募集要項だけでなく、社長メッセージやスタッフの一日、先輩社員紹介、選考の流れなど、旅館・ホテルの仕事への関心やイメージを高めるコンテンツを充実させた方が良いだろう。
退職者の写真を差し替えることを煩わしく思って、人物写真を使用しない館があるが本末転倒である。実際に働いているスタッフの写真や意見を開示することで求職者の応募件数が増加し、採用後のミスマッチによる離職も防ぐことができる。
(山田ビジネスコンサルティング事業企画部部長)