【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン393】成熟化時代の開発リニューアル戦略6 青木康弘

  • 2017年9月11日

 前回に引き続き、円滑に開発リニューアル融資を得るコツについて紹介しよう。国内の旅館・ホテルマーケットも、成熟化の兆候が見え始めてきており、金融機関も新たな貸し出しに対して慎重になりつつある。しっかりと説明できるよう裏付けを持って融資申し込みをしたい。

 10、不動産保有を別会社化する

 旅館・ホテルの不動産保有を別会社化するのも円滑に融資を受けるには有効な手段である。不動産保有会社の収支構造は単純である。収入は毎月固定の地代家賃、支出は税金(固定資産税、法人税)と保険料、管理経費、専従者給与、借入金返済(元金、金利)などである。長期間賃借してくれる有力な運営先があれば、収支の見通しを立てやすく、金融機関も融資をしやすい。

 このことは都市型のホテルが乱立する要因にもなっている。より高い利回りを求める不動産会社が、賃貸先のホテル運営会社の信用力を背景にフルローン(全額借入)で業界進出するというのは珍しくない。

 グループ内で保有と運営を分けるのであれば、会社分割や事業譲渡の手法を使えば良い。名義変更手続きの煩雑さと不動産移転費用とのバランスで方針を決めよう。

 不動産を外部に売却するというのも良い。自社のルーツとなる店舗は保有しておいた方が良いだろうが、それ以外については外部売却した方がメリットは大きい。理由は二つある。

 まず、資金調達の苦労から解放されることだ。保有と運営が同一の場合、旅館・ホテルの業績によって設備資金を融資するかどうかの判断をされてしまう。保有と運営が別であれば、融資審査の対象は不動産保有会社となるので、安定的な家賃収入があれば融資は受けやすくなる。

 次に、事業資金が確保できることだ。不動産売却によって得られた資金を次の不動産取得や新規出店の原資とすることができる。1店舗で運営するよりも地域や業態を分散させた方が、安定的な事業運営をしやすい。

 (山田ビジネスコンサルティング事業企画部部長)

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