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 ■2007年 旅行業4社 トップ新春座談会


新春座談会


新春座談会

 政府発表では57カ月続いた戦後最長の「いざなぎ景気」を06年11月に超えたというが、「実感に乏しい」という声が多いのが実情だ。一方、観光業界は、「旅行者志向の多様化、個人化」や「インターネットによる宿泊予約の増加」といった環境の変化が激しく、それらへの対応が大きな経営課題となっている。旅行会社も今、生き残りを賭けた転換期にあるなか、経営トップはどんなビジョンを描いているのか。本紙恒例の旅行4社トップ・新春座談会で、JTBの佐々木隆、近畿日本ツーリストの太田孝、日本旅行の金井耿、トップツアーの森貞夫の4社長に語っていただいた。

■出席者■
日本旅行社長金井氏 JTB社長佐々木氏 近畿日本ツーリスト社長太田氏 トップツアー社長森氏
日本旅行
社長 金井 耿氏
JTB
社長 佐々木 隆氏
近畿日本ツーリスト
社長 太田 孝氏
トップツアー
社長  森 貞夫氏

 
 座談その1 ─07年はどんな年に─
金井 : 中期計画の総仕上げ
  旅館と協働もポイント
佐々木 : 追い風が吹き明るさ
  ビジネス手法の改革を
太田 : ネット取り組み強化
  大都市では新店舗展開

: 社名の告知を積極的に
  収益率の高い構造へ加速

(司会)
昨年は観光業界、とりわけ旅行業界にとってはどんな年だったか。国内旅行市場の動き、それぞれの会社の実績を踏まえて語っていただき、そして今年は文字通りの真価が問われる年となりそうだがどんな年になるか、を予測してほしい。


太田 :
昨年は、まず国内旅行からとらえると愛知万博という特需の翌年にあたり、特に個人旅行に大きな反動が出て、影響を受けるのではないかと思っていたが、年間を通じてみるとそれをカバーすることができた。しかし、団体については、万博を中心とした自治体需要がかなり大きかったので、そこまでカバーしきれなかった。ただ、国内旅行全体では横ばいであったとみている。

旅行商品の傾向として、北海道、沖縄、九州などエアやJRを使ったロングポーションの企画商品は好調に推移した。一方、宿泊単品のインターネット予約では、マーケットの伸びに対し当社の対応が十分に整っていなかったが、これも既に手を打っている。しかし、いろいろなチャネル開発の成果がようやく秋口ごろから表れ、宿泊企画が戻り始めたと実感している。

──決算は12月だが、その予測については。


太田 :
自分では満足していないが形はついた、と思っている。

──今年はどんな見通し。

太田 :
新しい企業ブランド名「KNT」を発表した。名前だけでなく、社員1人ひとりが自分たちで会社を変えるという強い意気込みを感じている。今年はまずインターネット予約に積極的に取り組む。1月に国内宿泊予約総合サイト「ステイプラス」をオープンする。

観光経済新聞に書いてあるように、ネット3分の1、直販3分の1、旅行業3分の1の時代になっていくのは間違いないと思うし、あらゆるチャネルで旅行需要を生み出していかなければならない。「場貸しサイト」として後発だが、それだけに他にはないものにするつもりだ。例えば宿泊施設が直接プランを入力し価格設定を行うと同時に、仕入在庫の中からも客室を販売できるようにする。契約施設1万軒を目指しているが、アクセス数が増えることにより協定旅館への送客増という効果につながると考えている。

次に、アクティブシニアの商品開発に積極的に取り組んでいく。近々全く違った商品コンセプト、店舗コンセプトを持った店舗をオープンさせるつもりだ。団体旅行については、インセンティブ、特に最近は職場旅行も増えてきている。団体旅行も活況を呈してきたなというように肌で感じている。


──旅行業というのは手数料商売になっている。最近はレジャーの志向、動向が大きく変わってきている。例えば、首都圏、東京には温泉が23カ所もあり、それぞれに立派な施設を設けている。温泉に入って、豪華な食事も味わえる。これは"泊"を伴わないので、それなりに家族で楽しめるとしてお客を集めている。あの集客量を誇るディズニーランドでさえも、ディズニーシーを併設したりして、いまなおかなりの集客はあるが、それもその他のレジャー施設に食われ始めているという。

旅行業にとっても単なる手数料商売では厳しくなってくることが予測される。なにか関連する金融商品などの商売も考えられるのではないか。今年はそうした面からも旅行業には厳しい転換期の時代になることが予測される。


太田 :
私は旅行業という言葉は将来的になくなるだろうと社内で言っている。それは従来型の限定的な旅行業という意味においてではあるが。旅行商品の流通では、流動化がますます進んでいくと考える。これから異業種との積極的なコラボレーション、アライアンスが広がっていくと思っている。

お客さまのニーズの変化についてみると、先ほどの温泉施設での話ではないが、確かにレジャーに対する志向、動向が変わってきている。店作りに関しても、お客さまの変化に対応すべく昨年パイロット店として川崎と錦糸町にそれぞれ新しいコンセプトの店を作った。当初の期待以上の実績を残しており、大都市圏ではこうした展開を行っていけると思っているし、今年もこの考え方の店舗展開を加速させていくつもりだ。

またインバウンドに力を入れるため、今年、国際旅行営業部を立ち上げた。


──JTBは分社化して9カ月を過ぎた。どんな成果が表れているのかを踏まえて話してほしい。

佐々木 :
昨年は海外旅行は順調に推移して伸びた。国内旅行はご指摘のように万博の反動で個人は横ばい。団体はかなり落ちたようだ。しかしどちらかというと恵まれた年だったと思う。ご承知のように経営体制を変えたので、社員がそれぞれ自らの意思で移籍し、モチベーションも上がったとみている。

今年はまさに転換期になるのではないか。いろんな意味で、いままでやっていなかったことややりきれなかったことを展開することになる。法人も動き始めているし、このマーケットとも積極的に取り組むが、個人の場合は見えない部分もある。

ただ去年1年間の流れをみると、それなりに増えてきているので、厳しい、厳しいといわれるなかでも、今年は年初から年末までアクシデントが起きない限り、追い風が吹くのではないか、と思っている。


──最近は、レジャー活動といっても、旅行ばかりではなく、その他のレジャーが増える傾向にある。手数料だけの商売では、旅行業にとっては厳しい年になるという人も少なくない。

佐々木 :
ご承知のようにJTBには関連企業がかなりある。いろんな分野での仕事をしている。当然業績の良いところには人材も配置しているし、人も集まる。コンべンションなどもこれからは有望だろうし、グループ全体で旅行以外のマーケットの分野で、いかに収益を上げるかもこれからの課題となろう。

ただこれからはビジネスのやり方が根底から変わってくるかもしれないというよりも、変えなくてはならなくなることも予測しなければならないことは確かで、当然、危機感は持っている。まずはいままで持っているマーケットに磨きをかけることが先決だ。

──先に今年度からインターネットの手数料を6%にし、いろいろな観点で売り上げ増を狙うと発表している。既存の手数料とかなりの格差があり、首を傾げる向きもある。

佐々木 :
それは販売の手法が全然違うからだ。ただインターネットで遅れをとったのは事実だ。それを取り返したいという戦略もある。

──横道にそれるが、手数料というと、長い間、一律を続けているところに問題があるのではないか。宿によっては減価償却も終わり、30%の手数料でもよいというところもある。昔から言われていることだが、オフ・オンで「%」が違うようにするとか、宿の経営内容を話し合って、このくらいなら%を出せるとか、手数料に波動性を付けることもできるのではないか。

佐々木 :
今の契約内容の形がベストとは誰も思っていない。このところ契約内容も大分変わってきた。宿の立場もよく分かる。できるだけ早く、いろいろな課題をクリアしなから話し合っていく方針には変わりはない。

──ともかく今年は明るい年にしなければならない。最近になって、やっと肌感覚で「少し上向いてきたな」という人が多い。

佐々木 :
その通りだ。追い風が吹いているから、きっと明るい年になると思っている。我々もできだけの努力をしているし、努力を続ける。

金井 :
昨年は皆さんが言われている通り比較的順調であったと感じている。ただ当社の場合、万博の反動の気がかりがあった。入場券部分がかなり大きかったので、それが抜けたということがあり、国内の個札の部分が前年に対して落ち込んだ、といえる。全体としては、その辺を海外旅行でカバーしトータルでは前年を越えるところで落ちつくのではないか、と捉えている。上期は順調だったが、9月ぐらいから少し低迷気味になってきた。団体は前年比でまあまあだが、国内旅行のコンピュータシステムを変えたので、それが思ったように稼働せず、企画商品の販売に影響を与えたようだ。これを今後どう立て直していくかが課題となっている。

流れとしては、先が見えてきた感じはしているので、このテーマをどうクリアするかだ。全体のマーケットは、すでに皆さんも指摘されたように順調さはあるが、ただ本当の好況さは実感として、今のところはまだないのではないか。これからは、好況があってもバブル経済のときのようにみんなが浮かれる、というようなことは期待できないし、そこそこの伸びがあればそれをもって良し、とするしかないという感じがする。そうした観点で来年のことを考えるしかない。悲観的なことは特にないが、ちょっと危惧されることは、円安がこのところ続いているので、海外旅行に多少は影響があるかもしれない。その辺を除くと今年はまあ順調に動くのではないかとみている。そこで当社としてどうするか、となると、今年は5カ年の中期計画の最終年度に当たる。これまで日本旅行イノベーションという形で取り組んできたものを総仕上げをしなければならないことになってくる。

その点でみると、当初5年前に描いた絵からみると、当時と前提条件が変わってきているが、まだまだクリアしたというところまではきていないので、いろんな面でイノベーションの中で課題として仕上げてきたことをゴールに近いところまで持ち上げていく必要がある。これが最大のテーマだ。国内のシステムを変えて若干つまずいたところはあるが、それを今年度きちっと活用できるような形にしていき、営業のあり方も団体営業改革とかいろいろと取り組んでいるテーマもあるので、それをキチッとやっていく。もうひとつの側面としては、5年の最終年度ということは、次の中期計画を、何年のスパンにするかはともかくとして、考えなくてはならないことが同時にある。

さきほどから議論が出ている流れ、旅行業界の転換期という状況の中で、何をどう取り組んでいくか、もう一度キチッと考え直さねばならないときにきているので、これからその答えを一生懸命見つけていくことが重要課題だと思っている。今の取り組みの中で大事なことは単に手数料だけの問題では先行きおぼつかない、ということを前提にして、我々が何をできるか、よく考えてみる必要があるのではないだろうか。

我々が持っている、培ってきたものは相当なものがある。これを例えば旅館の方々とか、関係者などと協働する形でどう磨き上げて、生かしていけるかが、1つのポイントではないかという感じがする。この辺を軸にした今後の取り組みの基本を定めていきたいと思っている。


──トップツアーの場合、経営そのものの環境がここ数年大きく変わっていると思うが、昨年の実績はどうだったか、そして今年をどんな運営戦略を立てていくのか。

:
社名を変更したのでどうなるか、多少は懸念したことは確かだ。国内団体旅行は数%前年比を割る結果になるが、海外がその辺をカバーして全体的には前年を上回る状況だ。社名変更の影響は、ある程度準備をしてかかったのでそれほどの影響はなかったとみてはいるが、社名の告知などを今年はもっと積極的にやっていかねばならないと思っている。

景気の影響は今年は皆さんが指摘された通りだと思うし、よほどのアクシデントがない限り旅行市場も順調に推移するだろう。当社としては、粗利が同じように売り上げの中で劣後したと感じており、今年については、収益構造の転換も少しずつ取り組んではいるがその部分を加速していかねばならないだろう。粗利の悪いところは見直して、そうでない販路に転換していくとか、収益性を重視していきたい。宿泊券手数料についても最終的には、手数料がどうのこうの、とはならないと思うが、この先、手数料だけで生きていくことは厳しくなるということは十二分に承知しているので、そうした中で手数料ではない、新たな収入源も取り組んでいく必要があると思う。

──今は東急電鉄のバックアップはあるのか。


:
電鉄はまだ15%の株を持っていただいているが昔ほどではなくても、ともかくかかわりはあるので協力体制はあると思う。

──社長が短期で変わると社員のモチベーションを削ぐことになると思うが、その点はどうか。


:
企業活動の中ではあり得ること。しかし、企業はどんなことがあっても継続していかねばならないので、今は社員とともにがんばるしかない、と思っている。いろいろなハードルはあるが、それらを社員と一緒に乗り越えていきたい。


 座談その2 ─インターネット販売─
金井 : 宿泊では3割までいく
佐々木 : 今年から積極的に展開
太田 : リアルとの融合が重要

: ケイタイ利用が伸びる

──まだ旅行市場の全体から捉えると10%以下ではあるが、シティホテルやビジネスホテルなど特殊の場合は別としても、インターネットによる予約がかなり予測を上回ってきた。昨年にもこの座談会で、今後どう動くか、を予測してもらったが、これからはまだまだ増えていく可能性がある。

佐々木 :
指摘されたように、まだ国内旅行の総需要の10%まではいっていない。しかし、確かに読み間違えたきらいはあろうが、まだ20%ぐらいまではいくのではないだろうか。その辺りがくぎりなような気がする。

太田 :
宿泊のウェブ専業者シェアも増えているし、そうなるとかなりのところまでいくかもしれない。20~30%ぐらいまでいくかもしれない。先ほど述べた旅行業3分の1、直販、ネットそれぞれ3分の1ということだ。しかし、季節の特性などによって随分変わるということもある。

金井 :
宿泊では前から3割ぐらいといっている。いろいろな仕組みもあるし、いろんな要素はあろうが、一口でいうとそんなものだろう。"江口理論"(旅行業、直接販売、インターネットそれぞれが3分の1)によると、直販もネットに被さるだろうから、かなりいくとみるべきだろう。

:
ネットのなかでも、携帯電話サイトからも利用が伸びるのではないか。これもしっかり考えないと。

太田 :
当社は既にモバイル対応を強力に推進しているが、大きく伸びていくと考えている。しかし、それ単独でということでなく、リアルを含めて融合していくことが重要だ。

佐々木 :
ネットはともかくも、あらゆる行動パターンがある。当社でも今年から積極的に展開していくことになっており、ご承知のように新聞で掲載されているように発表している。

──旅館・ホテルで以前から問題になっていることに客室の消化率が低いということがある。例えば、年間の客室提供に対する消化率は多いところで約30~33%、普通で20%前後という。どんなに多いところでも50%に満たないのが現状だ。売れない客室をなぜ預かるのか。現状の50%ぐらいは預かる必要はないし、どうして宿が売りやすくするように客室を返さないのか。いろいろな事情はあるだろうが、それはあくまで旅行業のサイドの問題だろう。難しい課題だろうが、その辺も解決していかないと「共生」「共生」と言っても宿は首を傾げる。また最近そうした意向をよく聞くことがある。

金井 :
安い宿泊料金で売るところが増えてきて、宿はいろいろなことで今悩んでいるのではないか。そんなことなどが大手の旅行業なら、分かってくれるというのか、こっちに向いてきている向きもあるのではないだろうか。それで解決するか、というとそう簡単にはいかない、どの道を求めるか、という基本的な問題もあるだろう。

:
お互いに業界団体があるのだから、そうした課題はそこで解決していかなくてはならないだろう。お互いにいろいろな事情もある。

──そうした意味からも旅館業界、とくに所管官庁が同じである国観連と日観連が形骸化しつつあるときに、今年の6月をメドに対等合併する方針を明らかにした。

佐々木 :
合併するとどれくらいの数になるのか。

──約6000軒ぐらいになるのではないか。


佐々木 :
JTB協定よりは多くなることになる。

太田 :
取り巻く環境が厳しい中、ある意味自然の流れと言える。行政などへの提言、要望などもまとめやすくなり、業界の発展につながるのではないか。再編後の組織と旅行業界が共同歩調をとることが重要だ。

:
旅行業にはJATA(日本旅行業協会)という組織がある。

佐々木 :
組織というのは、何をするにしても頭次第で動きが変わってくる。政治的に解決する問題も多々あるでしょうし、組織が強くなることはいいことだと思う。

 座談その3 ─旅館業界への示唆─
金井 : 自己アピールを明確に
佐々木 : 滞在で楽しめる工夫を
太田 : 自信持てる"売り"作れ

: 類型を求め過ぎている

──最近は何といっても魅力のある温泉・観光地にしなければならないとして、地域ぐるみで商店街も巻き込んだ地域の活性化が進められている。JTBもかなり前から協力体制を敷いている。とくにJTB旅ホ連では、街づくりに役立つ事業に対して補助金制度を設けて積極的に乗り出している。

佐々木 :
それは当然のことで、県などにも人材を送ったりして活性化に協力している。これからも積極的にやっていきたい。経済産業省も「美しい日本へ」とこれらの事業に積極的に乗り出しているので心強い。何としても観光資源も掘り出して、感動のある、魅力ある街づくりは欠かせない。外人観光客が増えてくる時代にはなおさらだろう。

太田 :
当然で積極的に協力していくことにしている。地域ごとに旅行業の大手が一本化してやればよいという説もあるが、ある面では競争でもある。

佐々木 :
それはどこか主導するにしても、みんなが協力しているから心配はない。

:
地域の活性化は、地域ごとに特性があり、行政も絡んでくるから、全国一律というわけにはいかない。

金井 :
私はJATAの中の国内旅行委員会を預かっているが、そこでいろいろと検討している。各地域で広域的にやろうということになっている。JATAとして調査団を出す。単に行くだけではなく、地元として取り組みたいこともあるし必ず商品化しようと今やっているところだ。すでに4カ所ぐらい行っている。それに行った人がそれぞれの会社に持ち帰って売り出していこうということにしている。まだどれだけの成果があるか自信を持って言える段階ではないが。そういう形で、あるところまでは一緒に歩みを進めて、そこから先は競争ということにしていかないとダメだ。最初から最後までみんなが一緒になってやろうというのはなかなか難しい。

太田 :
そうしたことは自然の流れだろう。

──話は変わるが、宿泊予約の場合、それぞれが大型コンピュータを使用している。当然、膨大な経費がかかる。以前にも指摘したことがあるが、共用できるところを共用して、あとは競争で、というわけにはいかないのだろうか。

佐々木 :
それはすでに販売のシステムが違うし、いくら共通の部分があるといっても難しいような気がする。

──最後になるが、今旅館業界は、好況の中でも経営環境はなお厳しい。業界に何か示唆を与えることは。

佐々木 :
旅客は海外のリゾートと比較しがちとなる。地元の活性化に取り組むときに、何とかしなければ、としていることはよく分かるが、リーダーシップにまだ問題があるような気がする。

:
「地域でどんなことをしたんですか」と聞くと、出てくる言葉はあまり変わっていない。その辺に問題もある。グローバル化の中では佐々木社長のご指摘通り私もそう思う。もっとはっきり明確に自己アピールしていくことが大事だと思う。

佐々木 :
これからは、お客さんがそこに滞在して楽しめるようにしなければならない。

太田 :
「自分のところ(地域、施設など)の売り物は何ですか」と聞かれたときに、自信を持って「これだ」と答えられるところがどれほどあるか、に尽きるような気がする。

金井 :
日本の旅館の良さをどうやって維持していくか、みんな考えていると思う。答えは設備のあり方などによってみんな違う。なんか類型を求め過ぎているような感じがする。自分で答えを見つけた人はちゃんとやっている。

佐々木 :
世代交代の時期だ。みんなで考えて、生き残るために、お互いの努力を呼び掛けたい。
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