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観光業界人インタビュー 第2928号≪2018年2月24日(土)発行≫掲載

ツーリズムおおいた事務局次長兼経営管理部長
安田 幸氏



──ツーリズムおおいた立ち上げの背景は。

 「大分県の観光が官民一体で本格的に動き出したのは、ここ数年の話。きっかけは、第1期大分県ツーリズム戦略2012の策定での議論だった。『日本一のおんせん県おおいた♨味力も満載』のキャッチフレーズが生まれ、20年ぶりにJRデスティネーションキャンペーン(DC)を誘致した。それまでになかった行政と民間が一緒に観光で地域を活性化しようという機運が盛り上がり、官民で議論した。15年にDC本番を迎えると同時に、官民協働で次の段階を模索し、大分県観光における組織の立ち位置や方向性、在り方を議論した。当時は、組織の体制や県の観光施策も過渡期だった。地域観光のマネジメントの強化や専門的組織づくり、人材の確保などの課題が抽出された同じタイミングで日本版DMO設置の話が国から上がり、県でも県域版DMO組織を目指す方向に決まった」

──ツーリズムおおいたの取り組みは。
 
 「大きくは、県全体の観光施策を担っている。国内外での誘客プロモーションをはじめ、セールス活動、観光素材のボトムアップを目的とした研修会や人材育成などに取り組んできた。誘客と地域の素材磨きは、車の両輪。何があって何が足りないのか、地域の調整を含め、地域と共に考えることが大事だ。今年、地域が同じ土俵で議論ができる場として観光マーケティング会議を立ち上げた。市町村や観光協会などと会議を重ね、現状把握や今まで個々の取り組みとなっていたものの共有を図っている。地域別のカルテを作成し、今後の展開に生かせる現状分析や整理ができる仕組みづくりを進めている。今年度中には、取り組みの合意形成を図り、次年度のマーケティング調査などにつなげる予定だ。ビッグデータの活用はまだこれから。経費がかさむため、十分に費用対効果を考えて決めたい」

──インバウンドへの取り組みは。

 「大分の特徴は、韓国からの旅行客のウエートが大きい。韓国からのお客さまを維持しつつ、他国のウエートを上げる必要がある。今後、大分では国際的な大型イベントが続き、インバウンドに力を入れる。狙いは、欧米豪とアジアで伸びが期待できる台湾や香港、中国、東南アジア。今年5月には十数カ国が集まる世界温泉地サミット、来年はラグビーワールドカップがある。温泉地サミットでは、温泉資源をどう活用し、観光資源にするかがポイント。温泉は観光に欠かせない素材であり、県内の産業と掛け合わせた多様なツーリズムを海外に発信していく。ラグビーワールドカップは、集客力が高いニュージーランドやオーストラリアなど強豪国が集まる試合5試合が組まれている。これを機に、欧米豪のファンに大分の魅力を広げる取り組みも行う。また、今年開山1300年を迎える国東半島の六郷満山の神仏習合文化やトレッキングなども広めていきたい。今までは、県が海外でのプロモーションを担ってきたが、民間や各市町村も活発に動きだしている。DMOとしては、現地商談会の設定やセールス、旅行博の案内など、市町村ベースで未成熟な部分の道を切り開く役割を担い、共に誘客を進めていきたい」

──DMOとしての組織の目標は。

 「まずは、組織力を高めること。マーケティングなどの知識だけでなく、地域も分かる専門人材の育成が、組織力や機能の強化には必須だ。併せて、市町村や民間との協働が不可欠。合意形成を進め、民間の感覚でお客さま目線の魅力的な商品や素材を作り、観光客を呼び込むことで地域の経済循環を促して地域を底上げしていく」

──地域の課題は。

 「2次交通は永遠の課題。公共交通機関が少ないからといって、新しくバスを走らせると採算が合わない。試しに実施したこともあるが、行政からの拠出がかなり必要だった。整備ばかり考えると金はいくらあっても足りない。まずは、現状の理解。実際に交通アクセスが悪いから来ないのか、どこが駄目なのか、目的地にたどり着く機能は最低限の中でどんな手法を取れば改善できるかを考えなければならない。利便性が悪くても素材を磨く視点を変えたり、実証実験などしながら進めたい」

──財源は。

 「DMOとして、地域に金が落ちて地域が稼げるようにすることが使命であるが、自分たちも地域も稼がなければならない。使命を達成する上では組織の収入確保も必要だ。ただ、地域DMOのような物産施設の指定管理受注などは、役割の違いもあり難しい。まだ行政からの支援が必要だが、16年度から収益事業をはじめ、『おんせん県グッズ』の販売などで収益を上げている。旅行業も取得しており、着地の企画旅行商品の販売システムの構築も進めている。できるだけ県内を周遊する商品を作り、昼食と移動、施設の入場がセットになった企画商品や将来的には県内複数の施設に入れるパスの造成、販売も行いたい。県域のDMOだからこそできるお客さまが利用しやすいパッケージを作っていきたい」

──他のDMOとの違いは。

 「県と市町村、民間との合意がうまく進んでいる。外で話を聞くと、うまく合意できないなどと聞くこともあるが、大分では、DCでの協働などで積み重ねてきた、みんなでやっていこうという土壌ができている。急速に外国人観光客が増え、受け入れ態勢で追い付いていない部分など新たな課題も出てきているが、地域が一丸となり、各課題の解決に取り組んでいる」

──今後のDMOとしての取り組みは。

 「DMOの組織としては5年計画として、22年をめどに確立したい。六郷満山、温泉地サミット、ラグビー、東京五輪・パラリンピックなどで取り組んだものを次に継続できる環境を作り上げる。『日本一のおんせん県』の認知度も上がっている。温泉、食、自然など魅力はある。次は『世界のおんせん県おおいた』として、浸透させていきたい」


【やすだ・さきお】
1991年大分県庁入庁。県職員として総務、福祉、企画分野を中心に勤務し、2016年から現職。

【聞き手・長木利通】


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