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観光業界人インタビュー 第2922号≪2018年1月5日(金)発行≫掲載

するが企画観光局企画開発部長
片桐 優氏



──観光局の立ち上げの背景は。

 「静岡県中部は国内の旅行先として認知されていない。観光協会が決まったものを進行するだけでなく、マーケティングや企画を専門的に行い地域を活性化する組織として立ち上げた」

──現在の取り組みは。
 
 「中部・志太榛原地域の観光戦略作りを進めている。七つの自治体(静岡県静岡市、島田市、焼津市、藤枝市、牧之原市、川根本町、吉田町)で局地的なプロジェクトを立ち上げ、今は三、四つを軌道に乗せている。川根本町では、SNSで若い世代に人気の寸又峡の『夢の吊り橋』の混雑解消サービスとして、スマートフォンなどの端末で待ち時間を確認でき、割引クーポンを提供するサービスやエメラルドグリーンの『湖面の色』を商標登録し、商品造成やサービスの開発を実施。地域の活性化やブランド化を進めている。観光局でも人材育成を進めている。自治体からの出向者を中心に若手で構成されており、まずは全体を把握できるゼネラリストを育成している。一つの自治体を1人で担当し、地域の戦略を立てさせている。その戦略、提案を元に企画や営業のトレーニングを行ったりもしている。私は『現地、現場、現物主義』で、スタッフは常に自治体の観光の局長や部長、現場の人とコミュニケーションを取るように指導している。DMOを進める際にチームで動くのも大事だが、まずは個人が地域を知って商品化し、売れるようにしなければならない」

──組織の目標は。

 「数値化が可能な定量目標は今年度が終わったときに設定する。マーケティングの指標や来訪率、認知率、人材育成などを戦略的に立てる。マーケティングは非常に広いもの。市場調査、戦略、商品作成、PRなどやることは多い。機能分化や機能間の連携を行い効率的に行わなければならない。将来的には、プロパーが採用できる財源を稼ぎ、DMOが果たすべき観光振興の役割を果たし、組織が存在するためのスキームを作り、働いた分の価値を見いだせる組織を作り上げたい」

──地域の課題は。

 「高齢化が進み、働く人の体力も下がり、担い手も不足している。マイナスを最小限にとどめ、プラスに転じる方法を地域で考え取り組まなければならない」

──どんなマーケティングをしているのか。

 「データは主に市場調査会社や通信会社のデータを使用している。しかし、今ある数字が実態ではなく、今を表す数字なだけで、未来を表しているものではない。今と今後は必ずしも当てはまらない。統計は検討材料として使用し、ポテンシャルがあるところを見つけ徹底的に攻めていく。今ある数字に縛られては新しいものは発見できない。2017年8月には全国の5千人を対象にアンケート調査をした。観光客を19タイプに分けて分析し、ターゲットを明確にし、戦略を組み立てる材料とした。商品を効率的に売り、収益を稼ぐためにも、まずは自分たちで商品を作らなければならない。商品作り以外にも観光局からは『こう動きましょう』など自分たちで動けない人たちのサポートも必要となる。プランを販売するだけでも利益になるし、全国の観光業者ネットでサポートすることも可能。いろいろな可能性を探っていきたい」

──財源は。

 「財源は二つだと思っている。補助金をもらうか、自分たちで自主的に稼いで運営するかだ。後者を多くしすぎると民間の営利企業になる。プロモーションを受け入れすぎても広告代理店になる。地域という単位で、観光地をブランディングし、税収を上げる仕組みも作れればと思う。財源を確保するために、机上で計算して足りなければ新財源を作ることも一つだ。今後は、観光局に金を払うことで大きなリターンが生まれるという流れを作りたい。財源の確保では現在、賛助会員制度を取っている。会員へのインセンティブももっと必要だろう。メンバーシップモデルを作り、支払った価格に対する松竹梅のように対価を払える仕組みなどもある。具体的に言えば、土産業者など複数の企業を束ねて新商品開発のためのワークショップをするのもいいかもしれない。会費に見合った制度設計を作らなければならない」

──今後の取り組みは。

 「11月26日から、2019年4〜6月に県内全域で展開される大型観光企画『静岡デスティネーションキャンペーン』の準備が加速する。どこを観光の目的地にするのかのビジョンやテーマ、ターゲットを決めていく。また、ほかの地域と差別化されたコトを目的にした着地型の商品を作り、販売していく。まずは、民間事業者や地域の人がやりたいと思えるモデルケースや成功事例を多数作り上げていきたい」

──中、長期の計画は。

 「まず組織として顧客、財務、人材の課題に対応していく。顧客は特に大事で、地域の人から頼られ、問い合わせやオファーがさばききれないという状態にしなければならない。人材も地域プロデューサーが、観光をゼネラルに分かり話せる人を作る。受け身ではだめだ。プル型を進めて自分たちの存在感の向上をしていかなければならない。この形を3年で作りあげたい。結果、選ばれて、訪れて、住む街を観光から作ることができる。満足度を上げるためにも、訪れた人と共感し、期待に応えていきたい。27年にリニアができると、東京の品川から名古屋まで約47分で行くことができる。今までの概念を取り払い、質が高く魅力的なものを作り発信しなければ、リニアが通らない静岡は取り残されてしまう。地域にしかない資源を磨き、販売していく」


【かたぎり・ゆう】
京大大学院卒。市場調査会社「インテージ」を経て14年にクックパッド入社。トレンド調査室の責任者などを歴任。17年4月から現職。


ウェブサイト「しずおか観光情報 駿府静岡市」では、静岡市の魅力が紹介されている。

【聞き手・長木利通】


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