にっぽんの温泉100選 | 人気温泉旅館ホテル250選 | 5つ星の宿 | 部門別100選 | 宿のパンフ | ベストセレクション | 宿の必需品 | 観光経済の本

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
  アーカイブ
→ PR
→ 宿の必需品
目次
→ 観光業界人インタビュー
→ このひと
→ いらっしゃいませ!
→ 最新宿泊&施設情報
→ 特集
→ データ
→ 注目トピックス
→ 2016年のニュース
→ 2016年の写真ニュース
→ 2015年のニュース
→ 2015年の写真ニュース
→ 2014年のニュース
→ 2014年の写真ニュース
→ 2013年のニュース
→ 2013年の写真ニュース
→ 2012年のニュース
→ 2012年の写真ニュース
→ 2011年のニュース
→ 2011年の写真ニュース
→ 2010年のニュース
→ 2010年の写真ニュース
→ 2009年のニュース
→ 2009年の写真ニュース
→ 2008年のニュース
→ 2008年の写真ニュース
→ 2007年のニュース
→ 2007年の写真ニュース
→ 2006年のニュース
→ 2005年のニュース
→ 2004年のニュース

観光業界人インタビュー 第2917号≪2017年11月25日(土)発行≫掲載

みやざき観光コンベンション協会
久重 和夫氏



──みやざき観光コンベンション協会の立ち上げの背景は。

 「宮崎県の総合計画長期ビジョンの戦略の柱の一つに観光が据えられている。それを元に観光振興計画が練られ、『何度も訪れたくなる、泊まりたくなる地域づくり』を目指している。このため、2004年に観光関連の誘致推進を行っていた三つの組織がまとまり、『みやざき観光コンベンション協会』がスタートした」

──現在の協会の取り組みは。
 
 「現在は、MICEやスポーツ、観光客の誘致を主に進めている。MICEは、シーガイアなど施設はそろっており、アフターコンベンションを含めた魅力を発信している。スポーツは、プロやアマスポーツのキャンプ誘致や受け入れ、宣伝に取り組んでいる。観光は、体験交流型メニューを増やし誘致を進めていきたい」

──DMOを進める中で見えてきた課題や問題点は。

 「最優先課題は、時代にあった観光素材作りと受け入れ態勢の整備だ。宮崎は福岡など消費地から遠く、2次交通が不便で、敬遠されがち。魅力を自らで作り発信し、わざわざ行く理由を作らなければならない。また、そうしないと生き残れない。現在は、客と住民が接点を持ち、宮崎でしかできない体験交流型メニューの造成を進めている。延岡市では10年から、地元の食やアクティビティなど体験交流ができるメニュー『えんぱく』を実施している。8年目の今年も地元で勉強会や話し合いを重ねながら54のプログラムを用意した。県外客の参加実績はまだまだだが、今後は地元の受け入れ態勢を今以上に整え、観光素材として県外に紹介していく。このような取り組みをベースに、成功事例を数多く作って広め、県内の各エリアで実施できるようにしたい。そのためにも、地元の観光素材を磨き、商品化して、どう流通させて誘客を最大化するかをもっと検討する」

──DMOとしての組織の目標は。

 「住民が自ら地域を売り込み、おもてなしができるようになることが理想。宮崎には都会にはない日本の原風景が残り、夏は海、春や秋は山など多くの観光資源がある。また、豊かな食や人が優しいところも魅力。地域の良いところを県外に発信し、観光客の満足度を上げおもてなしに対する対価をしっかり得ることを根付かせたい。体験交流型メニューの作成においても、『こんなことが観光客にうけるのだろうか』と懐疑的になったり、観光客との交流に遠慮がちになる人も多い。地域の宝をもっと生かし、エリアごとに資源を商品化して特徴を売り出すようにしていく。また、市町村だけではPRするにも限界がある。地域をエリアにまとめ、情報発信を行う仕組みを作り上げたい」

──インバウンドに関する取り組みは。

 「まだこれから。FIT(海外個人旅行)の客は、福岡から大分、鹿児島止まりで、宮崎まで来ていないのが実状。しかし、宮崎に来やすいように交通を新たに用意することは、費用対効果から考えても現実的でない。不便で手つかずの場所だからこそ自然などの魅力はまだまだあると思う。逆転の発想で考え、交通のハンディキャップを利点とする観光地づくりを行っていかなければならない。また、インバウンドも必要だが、まずは受け入れ態勢の整備を進めたい。日本人の受け入れができないところに外国人は迎えられない」

──DMOを進める上でどんなマーケティングを行っているか。

 「何のためにマーケティングを行うのか、本当に必要なデータは何なのかをしっかり考える必要がある。宿泊業では属性を含むデータはあるが、他には絶対的に役立つデータは見当たらない。体験型の商品を作り、来た客からデータを集めてCRM(顧客関係管理)戦略に役立てていきたい」

──運営するための財源は。

 「現在は、県からの補助金や協会の賛助会員からの会費がベースで成り立っている。組織として商売を行い、収益を残すことで財源を確保するのは難しい。まずは、地域や関係者との関係性をより強固なものとし、エリアごとの体験交流型メニューの造成や情報発信を進める。地域が稼ぎ観光消費が増える仕組みを作れば、エリアが自立して金が生まれるようになる。そうすれば県全体に金が回る仕組みが生まれ、協会の存在意義も高まるだろう」

──今後のDMOとしての取り組みは。

 「素材磨き、商品化が進めば宮崎のブランド発信に取り組んでいく。宮崎でも人手や後継者が不足して悩んでいる。各市町村と情報交換を行ったが、体験交流型メニューをそろえようにも、県の主力1次産業でも人手不足が顕著。農泊も積極的に進めているが、受け入れ農家も減少気味。農業体験を行おうにも手が足りないと消極的になりがち。今後は移住者や外国人の手助けも必要だろう。宮崎の暮らしや歴史、文化などを住民を介し経験するなど、体験交流が盛んになることで生活してみたい人も増えるかもしれない。最近、都心企業の宮崎への移転という話題も増えつつある。食や自然だけでは、他の地域と戦えない。地域、エリアが一体となるように働きかけていく。今はまだ、最初の仕組みを作っているところ。DMOの基本は『郷土愛』、その気持ちを持った住民の方々を奮い立たせ、一緒に選ばれる観光地をつくり、多くの人をおもてなししたい」


【ひさしげ・かずお】
JTB本社営業企画部国内企画チームマネージャー、JTB九州設立準備事務局長、JTB九州宮崎支店長、JTB九州取締役企画総務部長を歴任。2017年4月から現職。


延岡市では、54種の体験交流型ツアーを販売

【聞き手・長木利通】


週刊 観光経済新聞
観光業界トップメディア
観光に専門特化
観光立国を推進
JAPAN Endless Discovery
個人情報著作権等ご購読広告掲載お問い合わせ

写真、見出し、記事など全てのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます。著作権・著作隣接権は観光経済新聞社に帰属します。
Copyright (c) 1999ー2017 Kankokeizai News Corporation
All Rights Reserved