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旅館・ホテル ■第2562号《2010年5月22日(土)発行》  

休暇分散化、反対44%、賛成30%に 国観連調査
 国際観光旅館連盟(佐藤義正会長、1169会員)は17日までに全会員を対象にした休暇分散化に関するアンケート調査の集計結果をまとめた。政府の観光立国推進本部で提示されている春のゴールデンウイーク(GW)の分散化と秋の大型連休の創出の具体案について、春、秋合わせて賛否を聞いた結果、「反対」が43.6%、「賛成」が29.9%、「どちらとも言えない」が26.5%だった。質問対象の具体案は最終案ではなく、観光庁などが地方の意見などを聞きながらさまざまな手法を検討中だが、調査結果では賛否が分かれるとともに、期待と不安が入り混じる意見が多く寄せられた。

 休暇分散化のアンケート調査は、国観連の旅行需要検討専門委員会(岡崎彌平治委員長)が実施した。4月12日に質問票を発送し、422軒からファクスで回答を得た。国観連では、寄せられた意見とともに集計結果を会員の声として観光庁に提出した。

■競争激化を危ぐ
 全体の約4割に達した反対の理由(選択式、複数回答)は、「地域間競争が激しくなり、今以上に有名観光地などの地域に集中する」が51.1%、「有給休暇を取りやすくする施策を進めることが先決」が40.2%、「各地域には伝統と歴史のあるさまざまなイベントがあり、すでに開催日が固定され、全国から多くの来客を受け入れている」が39.1%、「土・日曜日を合わせて5連休になると、海外旅行が多くなることが懸念される」が24.5%だった。

 このほかにも、「生産性や雇用問題のメリットだけを考えてこのような施策を実施してよいのか。日本固有の文化や習慣はどうなるのか」といった祝日の意義や文化的な側面を反対理由に挙げる旅館も複数あった。

■活性化を歓迎
 約3割に上る賛成の回答理由(同)は、「観光地の混雑や道路渋滞が緩和される」が83.3%、「遠距離観光がスムーズになり、国内観光の需要増が予測される」が61.1%、「旅行先の選択肢が広がる」が28.6%。

 ピーク需要の分散に伴う旅館経営上のメリットを挙げる意見も多い。「機会損失が減り、稼働率が上がる可能性がある」「平日と休日の差が少しでも平準化されれば、雇用の確保、食材の調達などがしやすくなる」「お客さまには料金の低廉化などのメリットがあり、宿泊施設としてもトータルでメリットが多いように思う」などの指摘があった。

■集客は工夫次第
 旅行需要が増大し、観光産業の生産性向上、地域経済の活性化につながるとの期待の一方で、地域間や宿泊施設間の“優勝劣敗”が鮮明になり、淘汰が進み、格差が広がるのではないかという声も多かった。具体案に反対の旅館だけでなく、賛成の旅館にも同様の懸念はあった。

 「人気の高い観光地や宿泊施設に集中し、将来的には地域の衰退を招く」「東京ディズニーランドや大型イベントを開催している地域に集中する」などの不安だ。一方で推進を求める声として、「実施してみる価値がある。集客できるかどうかは個々の工夫次第」「不景気の中、新しいチャレンジが必要。デメリットは修正していけばいい」などがあった。

 寄せられたコメントには、「春は賛成、秋は反対」またはその逆などの意見もあるほか、所在地域や業態によっても注目点が異なる。「当地は圏域内のお客さまが多いが、分散化してもこれが減るとは考えにくく、逆に需要の少なかった時期に他圏域からの集客の可能性が広がる」といった圏域内観光と地域別分散の関係に触れた指摘をはじめ、「修学旅行の時期はどうなるのか」など季節需要への影響を気にする声もあった。

 このほかには料金設定に着目した意見が多かった。「ハイシーズン、オフシーズンの料金の差別ができなくなる」「地域別割引の実施が予想され、その結果、単価下落が起きる」「有名観光地以外での安売りが激しくなる」などの指摘があった。

 今回の集計結果では、「どちらとも言えない」という回答が3割近くに上ったことも特徴的。「内需拡大や旅館の活性化につながるか分からない」「予測できない部分が多い」「全国民的な盛り上がりが必要」などの意見もあったことから、国観連では、今後も休暇分散化に関する政府内外の議論に注目していく考えだ。

◆     ◆     ◆     ◆     ◆


アンケート調査の質問対象は、観光立国推進本部の休暇分散化作業部会(3月3日開催)で提示された案。作業部会で示されたカレンダーを使った分散イメージ図(5つの地域ブロックの区割りを含む)の資料も添付し、「たたき台」の案であることを明記した上で回答を求めた。

 この案は、GWの場合、憲法記念日、みどりの日、こどもの日を全国一律の休日ではない「記念日」に変更し、その分の休日を5つの地域ブロックに分散させて土・日曜と合わせて連休化するもの。秋の大型連休の場合は、「ハッピーマンデー」の海の日、敬老の日、体育の日を同様の手法で分散させ、大型連休を創設する手法となっている。



源泉湯宿を守る会、一般消費者への広報強化
認定証を受け取った新入会員
 
   源泉を放流式で利用している宿がつくる「源泉湯宿を守る会」(平野富雄会長、55会員)は12日、東京都新宿区の新宿ワシントンホテルで09年度の定期総会を開き、10年度事業として、会員宿の見学会や勉強会を開催し、源泉の適正利用に対する認識を一層高めることを決議した。一般消費者向けの広報策の検討なども進め、会の認知度向上への取り組みも加速させたい考えだ。

 総会には会員宿の経営者のほか、会への加入を希望している宿の関係者ら約20人が出席。10年度事業を審議する中で、ホームページでの一般消費者に向けた情報提供や業界専門紙への広告掲載による会員拡大、会の規約に即した源泉を供給する浴槽に掲出する「認定浴槽プレート」の掲出方法などについて意見交換を行った。

 また、新入会員に認定証を授与した。

 総会後には平野会長によるセミナー「源泉湯宿を守る会会員宿に必須の『温泉』と『温泉源』の保護〜10年ごとの温泉再分析結果を読み解いて温泉源の保護に生かそう」を実施。

 平野会長は会員宿に実際に掲出されている温泉分析書を例に分析書の誤りなどを指摘し、「分析書の内容は常に正しいとは限らない。温泉や温泉源の状態を把握するためには、分析結果を確認、評価できる最低限の知識や手法を持つべき」と指摘した。

 同会は温泉の成分分析の専門家である平野氏を会長に04年に設立。入会には、源泉または分湯権の所有▽浴槽は源泉掛け流しで、客1人あたり毎分1リットルの目安で給湯されている▽源泉が1年を通して適温で給湯されている▽安全上、加水・加温が必要な場合は性状の変更を最小限にとどめるよう努力し、源泉と浴槽の成分の違いを表示することを義務づけている。また温泉表示も、独自に「宿泊客1人当たりの温泉量」など8つの項目を掲示するよう定めている。

 09年度の新入会員は以下の通り。

 塵表閣本店(長野県神林温泉)▽源泉かけ流しの宿からまつ山荘(秋田県協和温泉)▽水明館佳留萱山荘(岐阜県新穂高温泉)。



旅館・ホテルの倒産、4月は11件

 帝国データバンクによると、今年4月のホテル・旅館経営業者の倒産は11件、負債総額は37億200万円だった。件数は前月、前年同月からともに1件増加。負債総額は前月から10億2200万円、前年同月から172億5900万円、それぞれ減少し、比較的低水準にとどまった。

 今年、倒産件数が10件以上の2ケタを記録したのは3、4月の2回で、前年同期と同じ。前年同期に3回あった負債総額100億円以上はいまだ見られない。

 1月からの累計は、件数が前年同期比4件減の34件。負債総額が同365億2500万円減の199億5500万円。

 今年4月の旅行業者の倒産は3件、負債総額は1億5400万円だった。

 件数は前月から1件増加、前年同月から2件減少。負債総額は前月から3億7600万円、前年同月から3億8800万円、それぞれ減少した。

 1月からの累計は、件数が前年同期比1件増の14件。負債総額が同20億円減の11億8800万円。



「恋人の名前募集中」と湯田温泉のキャラ・ゆう太

 山口市の湯田温泉旅館協同組合は、温泉地の新キャラクター「ゆう太」(写真左)の“恋人”(同右)の名称を募集している。採用者には湯田温泉の宿泊優待券3万円分を贈る。

 「ゆう太」は湯田温泉の復活300年を記念して今年登場させた白きつねのキャラクター。白きつねが見つけたという伝説が残る湯田温泉だが、1707年の富士山大噴火と時を同じくして温泉が枯渇。しかし、3年後の1710年に突然温泉が湧出するようになったという。今年は温泉が復活してから300年目の節目となり、温泉街の5カ所の足湯のうち3カ所に100輪の薔薇(バラ)を浮かべる「薔薇の足湯」をオープンするなど、記念の企画を行っている。

 新キャラクターも記念の取り組みの一環。旅館・ホテルのロビーに突然登場するなどして、宿泊客の子どもたちを喜ばせているが、このほど、その恋人が出現。しかし、まだ名前が付いていないことから、公募することとなった。

 応募は6月30日(当日消印有効)まで葉書で受け付けている。採用になった名前が応募多数の場合は抽選で当選者1人を決める。応募先は〒753—0056 山口市湯田温泉5—2—20、湯田温泉旅館協同組合。




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