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観光業界人インタビュー 第2817号≪2015年10月17日(土)発行≫掲載
 
国内物件登録数1万3000件超え
“進歩的規制作り”へ働きかけ

Airbnb Japan代表取締役
田邉 泰之氏


 マンションや一軒家などの空き部屋を貸したい人と借りたい人を結ぶオンラインサービス「Airbnb」(エアビーアンドビー)が世界で急成長している。日本法人の田邉泰之代表取締役に「Airbnbの営業展開」について書面インタビューを行った。

──「Airbnb」の特徴について。既存のネットエージェントとの違いは。

 「まず、創業からお話をさせていただくと、創業メンバーであるジョー・ゲビアとブライアン・チェスキーが、お金がなくて家賃の支払いに困っているときに、たまたま近くで大きなイベントがあり宿が足りなくなっている状況でした。そこで、エアーベッドを置いて自分たちの部屋を貸し出したのがはじまりです」

 「2008年にサンフランシスコで起業後、約7年の間に現在、190カ国、3万4千都市以上、ゲスト数は通算で5千万人に拡大しています。ツリーハウスやお城、ヨット、お寺まで、世界中の空いているスペースが150万件以上登録されています」

 「Airbnbの最大の特徴は、暮らすように旅をして現地をリアルに体験することを可能にしたプラットフォームであることです。ゲストは、世界中どこでも普通の家に泊まる感覚で、現地の人たちや文化と触れ合うことができます。旅行先で現地の人の家に泊まって、ガイドブックにはない穴場情報を教えてもらい、実際に暮らすような旅をすることが可能です。ゲストは、ホストとのコミュニケーション、地元の人々との交流を通じて文化を知ったりしながら旅の思い出を作ることができます」

 「サービスの急成長を後押ししたのは、単なる利便性や価格だけではなく、ユーザー(ホスト&ゲスト)の多くが家(部屋)の貸し借りを越えた、何か得難い体験と人生の価値をこのサービスを通して見いだしていただいているからだと考えています。例えば、受け入れる側のホストの方々は、外国からのゲストをもてなして国際交流がしたい、お子さんなどが巣立ち空いてしまった部屋を有効活用したい方などユーザー年齢などもさまざま、男女比もほぼ半分です。60歳を超えてホストになる方や、地元に戻って地方活性化のために活躍されている方などもいらっしゃいます。Airbnbでは、このようなコミュニティーを非常に大事にしています。オンラインだけではなく、オフラインでも情報交換の場を設けており、ホスト同士でも人気のホストにノウハウを学ぶといった活動も盛んです。今年11月には、Airbnb最大規模のコミュニティイベントがパリで開催予定です。全世界から6千人のユーザーが集まる予定です」

 「次に、弊社のオンラインシステムの特徴ですが、Airbnbのサイト上には、ホストのプロフィール欄にはホストの顔写真と詳細な情報が記載されており、自己紹介(学校、仕事、言語)や、その物件のルールなどがきめ細やかに掲載されています。登録時には、電話番号やEメールアドレスを登録するのみならず、それぞれの人となりが具体的にわかるようにFacebookやTwitterなどのソーシャルアカウントを連携させることを可能にしています。パスポートや免許証の登録もすることでID認証を取得することができます」

 「またホスト・ゲストともにレビューが掲載されていて、相手のこれまでの評価を確認することができます。こうしたレビューを通じ、ゲストはホストを、ホストはゲストを自由に選択でき、問題のあるユーザーは自然に淘汰されていくエコシステムです。ゲストは事前にホストへ質問をすることができ、ホストもこの人になら部屋を貸してあげたいと思う人にのみ宿泊を許可することが可能です」

 「その他、お支払いはAirbnbを通してクレジットカードで決済され、ゲストがチェックインしてから24時間経たないと成立されない仕組みになっています。さらに万が一の場合に備え破損などの損害については最大1億円までのホスト保障があります。カスタムサポーターの対応は24時間、困ったことがあればすぐに問い合わせていただけ、双方が気持ちよくサービスを利用できるよう万全の態勢を整えています」

──現在登録されている日本国内の宿泊施設数と、その内訳(旅館、ホテル、マンション、一軒家それぞれの登録軒数)。また登録宿泊施設数の当面の目標について(旅館、ホテル、マンション、一軒家それぞれの目標数も)。

 「現在、国内での物件登録数は約1万3千件を超え、昨対比3倍以上の伸び率を示しています。海外から日本へのゲスト数は、約4倍以上に成長しています。また、日本から海外へのゲスト数も、約3倍以上のペースで伸びています」

 「弊社としては、まずはAirbnbの体験や実際に家に泊まるとはどういうことかという理解を一歩一歩広めていきたいと思います。そして、長期的に宿泊のオプションが広がることで、より多くの旅行客が日本に長く滞在し、地元への経済貢献につながればと考えております」

──登録施設数、利用者数、それぞれの拡大に向けた施策は。

 「まず、当社のユーザーは平均年収がやや高く、滞在日数が長いのが特徴です。例えば、滞在期間が2週間ならば、ずっとAirbnbに泊まるのではなく、そこでローカルな体験をしたあとは、観光地のホテルや温泉旅館に泊まるなど足を伸ばす傾向もあります。当社としても、Airbnbのプラットフォームが少しでも地方の活性化に貢献できたらと考えております。たとえば、東京・大阪・京都というゴールデンルートの外にユーザーをどう散らすかといったことなどを日々考えています」

──一般のマンション・一軒家に短期宿泊者を泊めるのは日本の旅館業法に抵触する恐れがあります。御社の見解はいかがでしょう。

 「Airbnbのホストは、自宅を時折貸している一般の地域住民の方々です。追加収入は、日常生活関連の支払い、老後の蓄え、また夢の実現のために使われています。ホストへは法律や規則に沿った形でリスティングをしていただくようお知らせしていますが、既存のルールが、自宅を時折、貸し出している方に当てはまるのかは不明確です。日本でも、ホームシェアリングに関する時代の流れに合った現代的かつ、一般の方々にも分かりやすいルール作りに対する働きかけを行っていきたいと考えております。例えば、ロンドン、パリ、アムステルダムは、ホームシェアリングに関して新たな規制枠組みを採用した良い事例都市です」

 「また、Airbnbは、2012年のロンドンでのオリンピック、2014年のブラジルでのワールドカップを含めた大きなイベント開催時に、宿泊の選択肢のひとつとしてホームシェアリングという形を提供してきました。宿泊施設不足が懸念される2016年のリオ・オリンピックでも同様に、Airbnbは『宿泊施設の選択肢の一つとしての公式サプライヤー』(正式名称:Official Alternative Accommodation Service)として任命されています。東京オリンピックまでに、より多くの地域住民の皆さまが世界中から来るゲストを自宅に迎え入れることができるような環境が整えばと思います」

──7月22日、東京のマンションで中国人訪日客の転落事故がありました。御社の利用客との憶測が流れていますが事実ですか。また万一現場で事件・事故があった場合の利用者や登録施設、周辺住民への補償はどうなっていますか。事件・事故のリスク(犯罪、火災など)を回避するための施策は。

 「5千万人以上のゲストの方々が安全で良好な体験をしていただいています。その結果、150万件以上の物件が世界中に広がっています。弊社では、250名以上の専門チームが、コミュニティ(ゲスト&ホスト)の安全を守るために世界各国のタイムゾーンで働いています。予約の前にゲストとホストがお互いをよく知ることができるよう、プロフィール、レビュー、ID認証、Airbnbのプラットフォームでのメッセージのやり取りができる機能を追加しています。このエコシステムを通して、問題のあるユーザーは淘汰されていき、トラブルを未然に防ぐことにつながります。またホストの皆さまの安心のために最大1億円のホスト保証をご用意しています」

──旅館営業、ホテル営業または簡易宿所営業の許可を受けた施設のみサイトへの登録を受け付けるよう制度を改正する意向は。

 「既存の法律は自宅を時々貸し出している一般の人々のために設計されたものではありません。そのため、一般の人々が自宅を共有できるよう公平かつ進歩的な規制作りへの働きかけをしています。他国では少しずつ一般市民の方々が簡単に自宅を共有できるよう新たな法律を採用しています」


【たなべ・やすゆき】
Airbnb Japan代表取締役。大阪生まれ。一般消費財、エンターテイメント、ソフトウェア・オンラインサービスなどのマーケティングおよび経営業務を経験後、Airbnb日本法人の立ち上げに携わる。


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