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 ■観光業界人インタビュー 第2465号≪2008年4月26日(土)発行≫掲載
“野武士”のDNA復活を
黒字経営実現が至上命題


近畿日本ツーリスト 社長
吉川勝久氏

──近鉄では何を。
「副社長として経営企画を担当していた。グループ事業本部長として旅行業にもかかわっていた」


──社長就任の感想は。また近鉄時代と現在で、KNTへの見方は変わったか。
「1月始めに正式に(社長就任の話を)聞いたのだが、旅行業が厳しい環境に置かれているのは分かっていたので、『これは非常にやりがいのある仕事だ』と思った。実は私は30、40代の頃に毎月、当時の近鉄の社長の秘書として、KNT本社で開かれる取締役会についてきていたから、現役員よりもOBの方をよく知っているくらい(笑い)。当時はまだ城山三郎著の『臨3311に乗れ』に出てくるような、『自分がこの会社を動かしている』という感じの方がいた。その『野武士集団』のイメージで今回来たのだが、意外に皆まじめで、以前とはちょっと違う気はしている」


──KNTの強みと弱みは。
「強みは『企画力』『創造力』。皆非常に新しくクリエイティブな才能を持っている。強みを伸ばすため、社員には各自が感受性を深めるよう訴えている。プライベートでも、頭も体も心も一生懸命使って生活し、感度を高めることが旅行業者の仕事では重要だ。まだ抽象的にしか言っていないので、組織化して人材育成の面に反映するようなことを具体的に考えたい。弱みは、創造力への気迫の込め方だ。『わしがやってやる』くらいの気迫の不足。かつての強みだったところが薄れている面があるようだ。以前の野武士のDNAを蘇らせたい。創造力を生かす『元気さ』がもっと必要だ。元気のなさの要因の1つは、経営の結果としての『業績』が大きい。やはり黒字経営だ。配当もして、しっかりと社員にシェアできるようにしなければ。掛け声だけでは元気にはなれない」


──今年は中期計画の最終年度だが、見込みは。
「なかなか厳しい戦いをしている。ただ私もまだ来て間もない。今は来年度からの中期計画の策定に取り掛かりつつある。8月中に発表予定だ。これは私の考えを具体的にするものにしたい。そのため、秘書部長を経営企画部部長と兼務にして、中期計画に私の考えが入るようにした」


──今年度の重点事業は。
「組織再編により明確化した各事業の収支や課題から、不足している部分の補い方、また強いところをどう伸ばしていくかをはっきりさせていくことだ。そのためには提携なども含めて考えたい。そのうちの1つが、ニューツーリズム分野での角川さんとの提携による『ティー・ゲート』の展開だ。来年、再来年には、これからのKNTの大きな柱の事業になるようにしたい。プラットフォーム戦略も重要だ。主にこの2年、ホールセールとリテールの関係で、メイト・ホリデイ商品を中心に販売してもらうよう、できるだけたくさんのフェイス面を提供してもらってきた。東京地区で大きく伸びて、190%台で1年間売るところなどもあった。今年のテーマは『ホールセール部分のプラットフォーム』。提携各社の持つブランドに、KNTが商品提供をして支える。わが社の仕入れた客室を販売していく。これを10社ぐらい行いたい」


──人が価値観で動く今、スピード感ある対応が求められるが。
「私が社長に就任してすぐ、私以下、副社長、専務の5人からなる『経営連絡会』で基本的な方向を話し合い、その上で経営会議という執行役員以上の会議に落としこむ形に改め、スピード感を出すようにした。また今回の事業再編で、企画と仕入を1つのセクションにした。これは旅行会社の中では他にないことだ。消費動向などの情報は各事業ユニットから吸い上げ、全体に情報を回しながら商品開発していく。また再編で『旅行事業創発本部』を置いた。どんな部門か分かりにくいという意見もあるが、ここが何をやるのかを皆で考えることも1つの『仕組みづくり』と考えている」


──インバウンドについての考え方は。
「VJCの1千万人の目標などは前倒しで達成できるだろうし、非常に大きな市場。ただ、どういうようなビジネスモデルにできるかが課題だ。そういう意味では、『双方向』というのが重要だ。旅行会社やキャリアなど関連事業者が一体となったVWCでも、特にアウトバウンドを増やす方策の1つとしてのインバウンドの伸長という考えが共有された。また観光庁ができ、さまざまな行政の省庁が一緒になって動くようになるというのも追い風。中国やロシアなど、世界ではどんどん富裕層が増えている。どういうふうにビジネスモデルを作れるか、いろんな知恵の出し方や、時には業界としての陳情なども必要だ」


──今後、近鉄が旅行業を撤退するようなことは。
「それはない。私が社長となり、会長も近鉄の会長が就いた。これについても『KNTの応援団』と言っている。近鉄にとってKNTの存在はグループのブランド力をアップさせる意味で重要だ。近鉄という地域会社が、全国で、またグローバルで展開しているという側面だ。また大きな地域で事業展開していることでの事業感覚というのも、近鉄の中には必要な面だ」


──旅ホ連との関係は。
「やはり今までどおり、今まで以上に信頼関係を持ってお付き合いしていくことは最も大切なことだ。3月11日から9つの各地方連合会の総会があったが、1カ月間内田副社長と斎藤取締役国内旅行部長が全部回り、ごあいさつした。この中で非常に期待していただいていると痛感した。より強固な信頼関係を結んでいきたい」


【聞き手・江口恒明】
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