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 ■観光業界人インタビュー 第2440号≪2007年10月13日(土)発行≫掲載
厨房・浴場事故防止へ
管理マニュアル作成


全旅連 厚生部会長
シルバースター部会長
野澤幸司氏

 全国旅館生活衛生同業組合連合会(全旅連)の新体制が発足して4カ月が経過した。佐藤信幸・新会長(山形県・日本の宿古窯)のもと、6部会、1委員会がすでに始動している。衛生関係を担当する厚生部会、高齢者や障害者など、すべての人に優しい宿の普及を図るシルバースター部会の2つの部会長を務める野澤幸司氏(新潟県・ホテル小柳)に、2部会の活動方針と活動の進ちょく状況を聞いた。

──2つの部会のトップを務めている。兼務は重責だと思うが。
「確かに重責でプレッシャーもあるが、もともと両部会は密接にかかわっており、前体制から厚生部会とシルバースター部会は連携しあっていた。2つの部会を担当しても支障はないと考えている」

──それぞれの部会の活動方針と、現在までの活動の進ちょく状況を聞きたい。まず、厚生部会だが、すでに発表したアクションプログラムでは「品質管理の安心・安全な宿づくりの推進」を主題とし、具体的には施設管理のマニュアルづくりに取り組むとしている。なぜ、マニュアルなのか。
「厨房管理のマニュアル、浴槽管理のマニュアルなど、分野ごとの管理マニュアルはあるが、旅館の業務を網羅した管理マニュアルは見当たらなかった。これらを凝縮して、組合員の方々に分かりやすく伝えることが私の務めだと考えていた。旅館の品質管理の徹底、法令順守、安心・安全な宿づくりのひとつのきっかけになると思う」。

──近年大きな問題となっているノロウイルスとレジオネラ属菌対策が柱になるというが。
「いま、一番の問題だから、厨房管理、浴槽管理の中でも特に重視して、分かりやすく取り上げたい。9月25日に管理マニュアル作成委員会を開き、専門家の国立感染症研究所の先生と、監督官庁の厚生労働省の方々においでいただき、それぞれの立場で貴重な意見をいただいた。ノロウイルスに大変有効な薬剤が開発されたなど、有益な情報もいただいた。全旅連、国立感染症研究所、厚生労働省の3者がこういう形の話し合いを持つのは大切なことで、これは定期化したいと考えている。話の中身をマニュアルにしっかりと反映させたい」

──マニュアル完成の時期は。
「今年度事業として、来年2月までには完成させ、4月までには全組合員に配布したい。これをステップとして、次年度は、さらにバージョンアップした情報を全旅連のホームページなどで発信したいと思う」

──ノロウイルス発生のピークは冬場。2月のマニュアル完成までに部会として何らかの情報発信が必要では。
「マニュアル作成委員会で出た情報を含め、ダイジェスト版を全旅連の機関誌やホームページで公表する予定だ」

──次にシルバースター部会だが、アクションプログラムでは「高齢者が快適に過ごせる、利用しやすい宿泊施設の整備」を主題とし、制度のPRや登録施設の拡大、登録施設に対する有益情報の発信などに取り組むとしている。昨年度は卓球の福原愛選手をイメージキャラクターに起用して、ポスターやカレンダーなどで人に優しいシルバースター登録制度の周知に努めたが、今年度の目玉は。
「福原選手の写真を掲載した三角ポップとチラシを作成し、シルバースター登録施設の約1千軒に配布した。客室に置いてもらうなどして、一般への制度の周知を図る」

──シルバースター登録施設は現在、約1千軒。10月19日には登録審査委員会があり、施設数は増える予定だ。
「登録施設は現在、1千軒を若干切っている。施設の廃業などでここ1〜2年は1千軒前後を行ったり来たりしているところだ。スケールメリットを保つ意味でも、登録施設の1千軒確保とさらなる拡大を、都道府県のシルバースター地区委員にもお願いをして、図っているところだ」「制度は約1千軒の固まりがあることで、商社の方々からも注目されている。業務用商品の有益な情報が次々と入り、有利な条件で調達もできる。まず、シルバースター部会で使っていただき、次に全旅連約2万軒に、という構図ができている。そういう意味では、この部会を充実、発展させることが全旅連約2万軒の発展にもつながると思う。シルバースター登録施設が全旅連の先駆的な役割を果たしてほしい」

──このほか部会の課題は。
「登録施設は『トイレや階段に手すりがある』『高齢者に割引などの配慮がある』などの、一定の基準をクリアしているが、今後は部会として、車いす利用者やオストメイト(人工肛門、人工ぼうこう保有者)対応トイレ、AED(自動体外式除細動器)の有無など、施設のより細かい情報の提供が必要だと思う。ホームページでの開示に向けて、今後作業を行う予定だ。また、シルバースターの名称自体も、サブタイトルの『人に優しい宿』をメーンにした方がいいという意見もあり、これについては関係の皆さま方と議論をしたいと思う」

──ところで野澤部会長は新潟県旅館組合の理事長も務めている。先の地震による風評被害の払しょくに現在も東奔西走している。いまの状況は。
「ちょうど秋の団体予約が発生する時期に地震が起き、放射能漏れで騒がれた。団体のお客さまはほかの方面に予約を移してしまった。そのような中、いまから団体のお客さまを呼ぶのは難しいと思い、対策として個人のお客さまを呼び込もうと、各方面にお願いした。まず、JRさんが旅行業者の商品造成に対して、非常に使い勝手のいい料金体系を出してくれた。国土交通省さんは当時の安倍晋三首相への面会を取り持ってくれ、首相から新潟の観光地は安全という政府広報を出す約束をいただいた。高速道路もETC搭載車に限るが、利用料が割引になる制度を始めていただいたところだ。これを機会に、新潟県にお客さまの目が少しでも向いてくれるとありがたい」


【聞き手・森田淳】
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