奈良県訪れる外国人は「通過型観光が中心」──県の初調査で判明


 奈良県が実施した、初の「外国人観光客動向実態調査」によると、県への訪問は「初めて」が83%に上り、リピーターは極めて少なく、訪問地は東大寺と奈良公園周辺に限定され、滞在も3時間以内の見学にとどまっていることが分かった。また、宿泊施設や客室の数が少ないことから、「海外メディアは宿泊が伴わない奈良観光を紹介し、海外旅行エージェントは県内に泊まらない旅行商品を多く造成している」(文化国際部)現状が浮き彫りになった。

 調査は昨年9月から11月にかけ、東大寺や薬師寺、法隆寺、明日香村周辺を対象に、同課国際交流員の外国人4人が聞き取り調査した。また、旅館・ホテルなどへはアンケート用紙を配り、外客に答えてもらうよう協力を依頼。1141件の回答があり、うち、79件は宿泊施設による。

 調査結果によると、訪問者は韓国、台湾、米国、中国人が多かった。限られたエリアを移動しており、世界遺産・法隆寺や明日香、吉野などがある中南和地域を訪れる観光客は非常に少ない。

 聞き取りができた訪問者のうち、中国、台湾、韓国からの約6割以上が大阪と京都に宿泊していた。欧米客も同様の傾向にある。国際観光振興機構(JNTO)の04年度調査では外客の奈良県訪問率は4・8%(29万5千人)と全国10位だが、その多くは県内に宿泊しない通過型観光が中心だったことが明らかになった。

 このため、(1)国内客より割安なインバウンド料金の提供や、個人旅行の多様なニーズに対応できる宿泊施設の確保(2)宿泊を伴う客を誘致するため、ターゲットを定めた海外のメディアやエージェントを招いたファムトリップの実施  などが課題としている。

 奈良観光について聞いたところ、「景観、風景が綺麗」(韓国)、「静かな環境」(台湾)など良い印象を持っているが、「宿泊施設が不足」(韓国)、「英語の表示看板が少ない」(欧米)などの声もあった。

 奈良県は、2010年に外客を年間100万人とする目標を掲げている。今回の調査結果で分かった問題点を広く紹介し、解決に向けて取り組む方針だ。

 
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