旅行好調、エネルギー黒字化
エイチ・アイ・エス(HIS、澤田秀雄代表取締役会長兼社長)は12月12日、2019年10月期(18年11月1日~19年10月31日)決算を発表した。連結業績は、売上高が前年比11.0%増の8085億1千万円、営業利益が同3.0%減の175億4千万円、経常利益が同12.4%減の170億8900万円、当期純利益が同10.7%増の122億4900万円だった。売上高は過去最高を記録。旅行事業が好調なほか、エネルギー事業が黒字転換、ユニゾホールディングス株を売却するなど増収増益となった。
旅行事業は、売上高が同10.9%増の7224億6400万円、営業利益が137億5400万円。カナダのアウトバウンド旅行会社「Red Label」の連結子会社化や、インバウンド事業が中国市場を除き全体では順調に推移するなどし、大幅な増収増益を達成。海外旅行では、GW以降の需要減をグアム、欧州がけん引し、売上高が同4%増となった。サービス面では、出張やパスポート残存有効期間不足などの際に、旅行のキャンセルを補償する「キャンセルサポート」などを新たに開始している。
今後について中森達也取締役専務執行役員は「拡大する海外市場の獲得とHISグループの拡大を図り来年は売上高が10%アップ、営業利益は147億円を想定している。20年3月からの羽田空港の拡大に伴い、北米、ハワイ、欧州などロングホールの仕入れ、商品造成を強化する。国内は売上高が556億円しかないが、沖縄、国内バスツアー、訪日に集中して業績を上げる」と方針を示した。このほか、好調なグアムのチャーターを夏に月間9千席、クルーズをGWに4400人動かすと発表した。ウェブ化については、「店舗の売り上げは6割あるが、オンラインの予約数は、店舗を超えた」と述べた。
ハウステンボスグループは、売上高が同8.5%減の280億8600万円、営業利益が同30.6%減の50億7500万円。新規イベントの減少や訪日客数など入場者数が減少し、営業利益が大幅に下回った。澤田会長は「来期は大型イベントを増やす。また2年後に目指す上場、4、5年後を見据えるカジノを想定し、再度成長軌道に乗せる」と巻き返しを誓った。
ホテル事業は、売上高が同5.3%増の126億7600万円、営業利益(EBITDAベース)が同50%減の10億900万円だった。変なホテルが1年で6軒を増加するなど通年で寄与するも、ウォーターマークホテル売却と開業費用計上で減益となった。今期から開業費用の計上時期を、開業後ではなく費用発生時での計上に変更している。澤田会長は「国内のホテルをまず100軒、海外でも4、5つ星ホテルを中心に4年で100軒にする」と語った。
九州産交グループは、売上高が同2.7%増の222億3千万円、営業利益が同60.3%減の1億5800万円。「今期は9月14日に開業した熊本の商業施設『サクラマチクマモト』再開発事業費が費用増となったが、来期は寄与するだろう」と澤田会長。
エネルギー事業は、売上高が同70.7%増の204億6100万円、営業利益が9億7400万円(前期は営業損失4億2800万円)。澤田会長は「個人への契約数が順調に伸びている。200万世帯を目指す。来年は発電所も出来上がり、今後はより大きく伸びるだろう」と話す。
20年10月期の業績予想は、売上高が9千億円、営業利益が193億円、経常利益が195億円、当期純利益が110億円。
決算発表会の様子