高速バスマーケティング研究所(横浜市、成定竜一代表)は3日、「高速バス・マーケティング・セミナー2020」を東京都内で開いた。バス会社の経営者を中心に125人が参加を予定していたが、新型コロナウイルス感染症対策のため、スクール形式によるセミナー開催は断念。YouTubeでの無料オンライン配信に変更して実施した。
「高速バス『3つの市場』とその戦い方」「高速バスにおけるダイナミック・プライシング」「旅行形態の変化と高速バス」などをテーマに、ゲスト講師陣を交えた講演が行われた。
成定氏は「高速バスの年間輸送人員は1億人を超えている。また国内航空の年間輸送人員よりも多い」と市場規模の大きさを指摘。その上で、「地方→大都市」市場、「大都市←→大都市」市場、「大都市・海外→全国」市場の三つの市場について、現状分析と改善提案を行った。
「地方→大都市」の昼行路線については、(1)パーク&ライド環境を充実すること(2)地方側は朝発、大都市側は夕発便を高頻度にすること(3)始発停留所でのキャンセル待ち手続きやオンラインでの便変更を手軽にできるようにすること―などを提案。長距離夜行路線については「新幹線網の充実で、東京や大阪に朝9時までに到着し、夜8時まで滞在しての日帰り出張が可能になった。さらにLCCの台頭も影響し、地方↓大都市の長距離夜行路線の市場は縮小している」と分析した。対応策については「中・短距離路線に比べ、需要が週末や帰省ラッシュに集中する。バス会社同士の『貸切バス型管理の受委託』による続行便強化も有効」などと話した。
「大都市←→大都市」路線については「予約・比較サイトが成長をけん引してきたマーケットで、(利用者が)バスを選んで乗る市場だ。選ばれる『ブランド』になるために、パブリシティ(マスメディア露出)、ブランド・アイデンティティの確立、CRM(顧客管理)が重要となる」と説明した。
成定氏はさらに、「残された成長マーケットは『大都市・海外→全国』市場。例えば、旅の目的がはっきりしているFITのインバウンド客は、大都市に宿泊せず、目的地に直接向かうケースが多い」と紹介した。
成定代表