体験型観光に積極的に取り組み、成果を上げている地域の事例や課題を議論する「全国ほんもの体験フォーラムinながさき」が10~12日の3日間、長崎県松浦市と平戸市で開かれた。会期中、約千人以上の参加を記録し、前回大会の約6百人に比べ大幅増となった。この数字からも体験型観光への関心がさらに高まっている、といえそうだ。
同フォーラムは今回が4回目の開催。10日はプレイベントとして体験ツアーを、11日は東京大学名誉教授で「バカの壁」などの著書がある養老孟司氏の記念講演、長崎県内の各インストラクターによる取り組み発表、公開パネルディスカッションなどを、12日は課題別の研究分科会を催した。
今回、開催場所に選ばれた北松浦半島地域では、島や半島ならではの自然や農林漁業などを「松浦党の里ほんなもん体験」としてプログラム化。03年に最初の修学旅行を受け入れてから順調に実績を伸ばし、06年度の受け入れは58校・1万人が確実になっている。
11日のフォーラムの開会には長崎県の金子原二郎知事も駆けつけ、「(北松浦半島の)皆が一生懸命に取り組んだことが今につながった」などとあいさつ。国土交通省からは石川雄一・総合政策局観光地域活動支援室長が登壇し、「各地域で問題となっている過疎化対策には、交流人口の拡大しかない」などと述べ、体験型観光の有効性を強調した。
11日の目玉は「日本の観光振興を支える地域のほんもの体験」をテーマにした公開パネルディスカッション。藤澤安良・体験教育企画代表がコーディネーターを務めた。体験型観光の推進で経済的な効果だけではなく、地元住民も元気になっていることが明らかにされた。「受け入れた生徒さんの不登校が直った、という目に見える教育効果のほかに、生徒さんに刺激を受けた地元(受け地)のお年寄りが元気になっている。実際に医療費が減少傾向にある」(加蘭明宏・沖縄体験学習研究会ニライカナイ代表)といった報告もあった。
なお、第5回の同フォーラムは来年の3月、沖縄県での開催が予定されている。
体験型観光の有効性などを確認