2010年度を前にした3月30日、都道府県の観光関連予算が一部を除いてほぼ出そろった。厳しい財政事情を反映してか、前年度比マイナスとなる自治体もあるが、どちらかといえば増加しているところが多い。中には青森県や島根県などのように40%増と大幅に増やした県もある。本社が実施した「10年度観光関連予算調査」の中から、主な動きを拾ってみた。
北海道の予算(雇用交付金事業費含む)は前年度比18%増の約7億8千万円。北海道ならではのブランド力を高めるため「観光ブランディング事業」に取り組む。
今年12月に東北新幹線の新青森〜八戸間が開業する青森県。11年春にはデスティネーションキャンペーン(DC)も実施されるとあって、同47.4%増の約18億円と大幅にアップした。
同24%増の約7億1千万円の予算を計上したのは群馬県。来年夏実施するDCの成功を期すため、観光局内に推進室を設け、具体的な作業に着手する。
先ごろ県内の観光資源を一体的にPRする「埼玉『超(ちょ〜)』観光立県宣言」を発表した埼玉県。観光課の予算(雇用交付金事業含む)は約2億4千万円。ユニークな取り組みとして、全市町村にご当地キャラクターやご当地グルメの開発を呼びかけ、年内に「ゆるキャラ・サミット」を開く予定だ。
2月下旬に、10年度から6年間を対象とする観光振興基本計画を決めたのは愛知県。「産業としての観光の推進」などを基本方針とし、観光業の底上げを目指す。特に、東アジア(中国、台湾、韓国、香港)からの観光客を現状の3倍となる150万人を目指す。10年度全体予算は約4億7千万円となっている。
来年のNHK大河ドラマ「江〜姫たちの戦国」の舞台ともなる滋賀県。10年度予算は約3億3千万円。大河ドラマの効果で観光客は増えそうだが、広報宣伝などに使い、一層の集客を図る。
当初予算比4%減の約3億8千万円となった広島県だが、観光拠点の機能の向上と周遊ルートの確立を図るため、県内2地域に的を絞ったミニキャンペーンを新たに展開する。事業費として7200万円を計上。また、医療ツーリズムの育成などにも取り組む。
前年度比32.9%増の約5億円の予算となったのは山口県。「フェリーの旅」推進事業などを掲げる。組織再編では観光交流局を設け、局長(部長級)には総務省出身の課長補佐が就任する。
県出身の漫画家、水木しげるさん夫妻を取り上げたNHK朝の連続小説「ゲゲゲの女房」も始まり、追い風が吹く鳥取県の予算は同39.3%増の約7億5千万円。まんがにスポットを当てたユニークな事業が目立つ。
NHK大河ドラマ「龍馬伝」で注目が集まる高知県。予算は前年度比12.3%増の約14億8500万円を確保。新規事業としてジオパークの推進などに取り組む。
11年春に全線開業予定の九州新幹線鹿児島ルート(博多〜鹿児島中央)。開業すれば博多からの所要時間は約1時間20分とこれまでより1時間弱程度短縮されるだけに、「観光客の増加が期待できる」と関係者は見る。予算は同8.6%増の約19億円で、開業イベントの担当を設置する。