日本政府観光局(JNTO)が12月16日に発表した2015年11月の訪日外客数(推計値)は、前年同月比41.0%増の164万8千人となった。円安基調、航空路線の拡充、燃油サーチャージの値下がり、紅葉の人気などで11月としては過去最高。1〜11月累計は前年同期比47.5%増の1796万4千人に達した。速報では12月1日に累計1800万人を突破。年間値は1900万人台が予想されている。
11月の訪日客数は、ビジット.ジャパン(VJ)事業の重点市場のうちロシアを除く19市場が11月としての過去最高を更新。このうちマレーシアは月間の過去最高を記録した。
市場別に11月の動向を見ると、東アジアでは春の桜に続き、日本の紅葉の美しさが認知されてきたことなどで観光需要が拡大した。
中国は75.0%増の36万3千人。訪日クルーズは前年同月の3倍以上となる30隻が寄港した。ただ、MERS(中東呼吸器症候群)の不安の払拭で韓国への旅行が回復しつつあり、訪日旅行の伸びの鈍化に影響した。
韓国は50.5%増の35万9800人。ジンエア、チェジュ航空がそれぞれ釜山—那覇線を開設するなど、航空路線の拡充が訪日旅行需要の拡大に貢献した。
台湾は25.4%増の29万6500人。紅葉のピークに合わせて北海道、東北、関西方面へのチャーター便などが運航され、座席供給量は前年同月に比べて19%増加。航空会社と共同で実施したVJ事業の広告展開も奏功した。
香港は53.4%増の13万800人。京都、立山黒部、北海道に人気が集まった。VJ事業では秋季の誘客に向けて、旅行会社15社と共同で雑誌や新聞に広告を掲載し、四国、中部、北陸の魅力を訴求した。
東南アジアは、タイが11.9%増の7万6100人、マレーシアが42.7%増の3万9500人、シンガポールが43.1%増の3万8200人など。マレーシアは11月下旬から年明けにかけての学校休暇時期が年間最大の旅行シーズン。シンガポールは、タイ、韓国への旅行需要の冷え込みなどで訪日旅行が増加した。
アジア以外は、米国が21.1%増の8万8700人、豪州が33.2%増の2万9500人、英国が16.9%増の2万1600人、フランスが22.7%増の1万6300人など。米国は初の年間100万人到達が確実になった。フランスは、パリで連続テロ事件が起きたが、訪日旅行への深刻な影響は確認されなかった。